相続人に障害者がいる場合の相続税申告

ご相談内容

相続が発生しました。
障害者手帳を持つ相続人がいますが、相続税申告に影響はありますか?

現状分析と改善策

具体的な原因

被相続人のご長女が、お父様がお亡くなりになったとご相談にいらっしゃいました。
相続人は、ご相談者のお母様、弟様とご本人の計3人です。
被相続人は法人(不動産賃貸業)の代表でいらっしゃいましたので、
不動産や預貯金などの金融資産と合わせて1億円を超える規模の財産をお持ちでした。
遺産分割の方針をお伺いし、特例等を適用させ相続税を計算してみると、約80万円の相続税がかかる見込みであることがわかりました。

しかし、ご相談者様との面談を進めていくと、弟様が障害者手帳をお持ちであることが判明。
ここで、約80万円の相続税が0円になる可能性が浮上しました。
相続税の障害者控除の適用の可能性です。

 

解決策

相続税の障害者控除とは、相続人が障害者であれば、相続税額から一定額を差し引けるという制度です。
該当の相続人が相続財産を取得する際、次の要件を全て満たしている場合に適用されます。

①相続や遺贈で財産を取得したときに日本国内に住所があること
②相続や遺贈で財産を取得したときに85歳未満の障害者であること
③相続や遺贈で財産を取得した人が法定相続人であること

その障害者が満85歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額、特別障害者の場合は1年につき20万円で計算した額が控除されます。

また、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引き切れない場合、引き切れない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。
扶養義務者が2人以上いる場合は、扶養義務者全員の協議で控除額を決めます。

*扶養義務者とは、配偶者、直系血族および兄弟姉妹のほか、家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった3親等内の親族をいいます。

このご相談者様の場合、弟様は52歳の一般障害者でしたので、330万円が控除されることとなりました。
そして、弟様の相続税額から引き切ることができなかった部分の金額を他の相続人の相続税額から控除することで、相続税額を0円に抑えることができました。

まとめ

相続税の軽減措置や控除の特例などは様々なものがあります。
そのことを知らないお客様も多くいらっしゃいますので、お打合せやコミュニケーションの中で沢山の情報を聞き出し、適切な情報を提供することが大切であると考えています。

HOPグループでは、相続業務における豊富な実績とノウハウを活かして、相続対策から相続税申告まで、相続に関するお困りごとにワンストップでご対応させていただいております。お気軽にご相談ください。

(文責:栗原 圭澄)

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