高齢の父が自宅兼アパートを保有しております。今までこれといった相続対策をしてこなかったのですが、何もしなくて大丈夫なのかと思い、ご相談に伺いました。
確定申告は長年見て下さっている税理士の先生がおられるのですが、相続税についてはあまり詳しくないようで、生前対策のお話は出来ておりません。
確定申告のためのやり取りは主に母が対応してくれているのですが、母も年齢的にしんどいとこぼす様になりました。
やや父の物覚えも悪くなりつつあり、相続税がどれくらいかかるのかもわからないのですが、何から始めるべきでしょうか?
ご相談内容
現状分析と改善策
具体的な原因
ご相談に見えたご子息や他の兄弟も近くにお住まいで年末年始のほか顔を合わせる機会はよくあるとのことで、家族仲は良好と見受けました。
現在は、お母さまのサポートにより顧問税理士の先生に資料を提出したりしているようですが、今後は顧問税理士の先生との折衝などもご相談状況から、ご子息に対応いただく流れを検討することとなります。
また、認知症への不安がかなり高いご様子であったため、任意後見制度または家族信託の活用が予想されましたが、まずは対象財産を確定するために、財産目録の作成と相続税の試算を行いました。
解決策
借入金が多分に残っており、相続税額は発生しないか僅少であることが確認出来ましたが、以下の問題がありました。
・主要な財産(自宅兼アパート)を誰が引き継ぐか?
・それ以外の財産をどうするか?
金額的に兄弟平等に分けることは困難であるため、お父様が誰に自宅兼アパートを継いで欲しいかの意思を確認し、その他の財産の扱いの方針などもお決めいただきました。
これらの決定にあたっては、ご子息らが近隣にお住まいであったことから家族会議のかたちを取っていただき、お父様のご意向・想いをお伝えいただきました。
任意後見制度か家族信託の活用については、
・お母さまの今後の収入不安があり、アパート利益の半分が入るようにしたい
・現時点で確定申告等の管理手続を子の代に渡したい
との意向から、受益者連続型の家族信託を選択することとなりました。
家族信託の対象は自宅兼アパートと金銭であったため、その他の対策として以下のものを講じることとなりました。
・家族信託の対象となっていない財産についての遺言書の作成
・お母さまの遺言書の作成
・不公平感の軽減のために両親からの生前贈与や生命保険活用の検討等
最終的に、家族の皆が納得した段階で、弊社の行政書士と提携の司法書士の先生とで公正証書遺言と公正証書家族信託契約書の作成・立会いを行い、対策は一区切りとなりました。
公正証書には付言事項をあらためて想いを伝える手段としてご利用いただき、また、お嫁さんなどの相続人以外の家族には別途メッセージを書き残しておくことなども助言させていただきました。(エンディングノートその他の活用)
まとめ
生前の対策はなによりも『元気なうち』でなければ行うことが出来ません。
『元気なうちに』「時間をかけて」また、可能であればその想いを引継ぐ家族に『事前に伝えておくこと』が、笑顔相続に繋がるものと考えられます。
HOPグループでは、グループ内の専門家の協力はもちろんのこと、提携の専門家との協業により、相続に関連する事象に幅広く対応しております。ご生前の相続対策相談なども承っておりますので、お気軽にご相談ください。
(文責:朝比奈 宏)
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