事例紹介

相続事例:2026年02月20日

家族の絆を守る「付言事項」の力:家族の心を溶かした最後のメッセージ

【ご相談】長年尽くしてくれた長女に、大切な自宅を遺したい

92歳のY様から、相続診断士を通じて「長年尽くしてくれた長女に、大切な自宅を譲りたい」という切実なご相談をいただいたのが始まりでした。

 

【背景】複雑な家族関係と、相続争いへの懸念

Y様には、体調を崩された奥様を献身的に介護し、その後も自分を支え続けてくれた長女A様に「一番の宝物である家を譲りたい」という強い願いがありました。

一方で、他のお子様方(二女・長男・二男)との関係は一様ではありませんでした。特に長男C様とは家業をきっかけに数年間にわたり音信不通の状態が続いており、このままでは相続が争いに発展する懸念(遺留分の問題など)がありました。

私たちHOPは、単に法的効力のある遺言を作るだけでなく、「なぜこの配分にしたのか」というY様の真意を伝える「付言事項」が不可欠であると判断し、作成をご提案し、進めました。

 

【経緯】時間との戦いの中、守り抜いたY様の意志

作成の過程は、まさに時間との戦いでした。

  • 8月下旬:初回面談。
  • 10月中旬:公証役場の予約直前にY様が検査入院。一時は危ぶまれましたが、万が一に備え「自筆証書遺言」も並行して作成。
  • 11月中旬:退院直後、ご自宅へ出張し「公正証書遺言」を完成。その翌日はY様の93歳の誕生日でした。

そして、そのわずか1週間後。Y様は静かに息を引き取られました。

 

【その後】「付言事項」が凍りついた家族の心を溶かした瞬間

遺言執行者として相続人の皆様にお集まりいただいた際、私たちは少しの不安を抱えていました。「自宅をA様が継ぎ、預貯金を分ける」という内容は、他の兄弟にとって不満が出る可能性があったからです。

しかし、遺言書に添えられた「付言事項」を読み上げた瞬間、その場の空気が変わりました。そこには、Y様の幼少期の思い出、奥様との馴れ初め、そして子供たちが幼い頃にこの家で過ごした賑やかな日々の情景が、深い感謝とともに綴られていたのです。

疎遠だった長男様を含め、皆様が涙を流しながらこう仰いました。

「こんな話、聞いたことがなかった」「父さんは、こんな風に思ってくれていたんだね」

Y様の「想い」が伝わったことで、手続きは争い一つなく、現在も円滑に進んでいます。

 

【結びに】想いを形にする「魔法の一筆」を共に

「付言事項」には法的な拘束力こそありません。しかし、残された家族の感情を動かし、円満な相続を実現する「魔法の一筆」になることがあります。

「文章を書くのが苦手」「照れくさい」という方もご安心ください。私たちがお話を伺い、あなたの本当の想いを形にするお手伝いをいたします。

 

(文責:栗原 圭澄)

 
 
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