育児休業給付金80%引き上げはいつから?4月開始の新制度を徹底解説

更新日:2026年3月24日

育児休業給付金80%引き上げはいつから?4月開始の新制度を徹底解説

育児休業給付金が80%に引き上げられる、新制度をご存じでしょうか?実は、新制度を知らない人やいつから引き上げられるか知らない人も多いです。

では、いつから新制度が始まるのでしょうか?

結論、育児休業給付金の80%引き上げは2025年4月1日からすでに開始されています。

正確には、新たに創設された「出生後休業支援給付金」により、従来の育児休業給付金67%に13%が上乗せされ、合計80%の給付率となる仕組みです。
さらに、育休中は社会保険料が免除されます。
給付金は非課税のため、実質的な手取りは休業前とほぼ同額(10割相当)になるということです。

ただし、この80%引き上げには「夫婦ともに14日以上の育休取得」「最大28日間のみ」といった条件があり、すべての人が対象になるわけではありません。

この記事では、80%引き上げの開始時期・条件・計算方法・申請手続きに加え、男女別の活用パターンや上限額、延長制度まで2026年最新の情報をもとに解説します。
育休を取得予定の方は、ぜひ最後までお読みください。

【結論】育児休業給付金80%引き上げは2025年4月1日から開始済み

「育児休業給付金が80%になるのはいつから?」という疑問に対する答えは明確です。

2025年4月1日から、育児休業給付金の給付率が実質80%に引き上げられる制度がスタートしました。
現在(2026年3月時点)は、すでにこの新制度が適用されています。

ここでは、80%引き上げの仕組みと注意点について詳しく解説します。

「出生後休業支援給付金」の創設で67%→80%に

「80%引き上げ」という言葉から、育児休業給付金そのものが67%から80%に変更されたと思われがち。
しかし、実際は少し異なります。

正確には、新たに「出生後休業支援給付金」という制度が創設され、従来の育児休業給付金に13%が上乗せされる仕組みです。

項目 給付率
従来の育児休業給付金 67%
出生後休業支援給付金(新設) 13%
合計 80%

この「出生後休業支援給付金」は、子どもの出生直後に夫婦がともに育休を取得することを促進するために設けられた制度です。
厚生労働省は「共働き・共育て」の推進を掲げており、特に男性の育休取得率向上を目的としています。

出生後休業支援給付金の対象期間
  • 男性:子の出生後8週間以内
  • 女性:産後休業後8週間以内

この期間内に、夫婦それぞれが14日以上の育休を取得した場合に、13%の上乗せが適用されます。

「手取り10割」になる仕組み

「給付率80%なのに、なぜ手取り10割になるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

これは、育休中の社会保険料免除と給付金の非課税措置が関係しているからです。

通常、働いているときの給与からは以下の控除があります。

控除項目 目安の割合
健康保険料 約5%
厚生年金保険料 約9%
雇用保険料 約0.6%
所得税・住民税 約5〜10%
合計控除 約20〜25%

つまり、額面30万円の給与でも、手取りは約23〜24万円程度になるのが一般的です。

一方、育休中は以下のメリットがあります。

  • 社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除される
  • 育児休業給付金は非課税(所得税・住民税がかからない)
  • 雇用保険料も給与がなければ発生しない

このため、額面の80%が支給されても、控除がほとんどありません。結果的に働いていたときの手取りと、ほぼ同額になるのです。

■具体例:月収30万円の場合
項目 通常勤務時 育休中(80%給付)
額面 300,000円 240,000円(80%)
社会保険料 約45,000円 0円(免除)
所得税・住民税 約15,000円 0円(非課税)
手取り 約240,000円 約240,000円

このように、給付率80%でも手取りベースでは実質10割相当になる仕組みです。

注意点:80%になるのは「最大28日間だけ」

80%引き上げで「手取り10割」になると聞くと、育休期間全体がお得になるように感じるかもしれません。

しかし、重要な注意点があります。80%の給付率が適用されるのは「最大28日間」のみです

29日目以降は、従来どおりの給付率に戻ります。

育休期間 給付率
最初の28日間 80%(手取り10割相当)
29日目〜180日目(6か月) 67%(手取り8割相当)
181日目以降 50%(手取り6割相当)

例えば、1年間の育休を取得した場合、80%が適用されるのは最初の28日間だけで、残りの約11か月間は67%または50%の給付率となります。

また、育児休業給付金には支給上限額が設けられています。高収入の方は上限額に達するため「手取り10割」にならないケースがある点にも注意しましょう。上限額の詳細は後述のセクションで解説します。

育児休業給付金80%引き上げの5つの条件を詳しく解説

育児休業給付金が80%になるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
「自分は対象になるのか?」を確認するために、5つの条件を詳しく見ていきましょう。

条件①:雇用保険の被保険者であること

育児休業給付金を受け取るための大前提として、雇用保険に加入していることが必要です。

雇用保険の加入条件
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

この条件を満たしていれば、正社員だけでなく契約社員・パート・アルバイトでも雇用保険に加入できます。

対象になる人
  • 正社員
  • 契約社員
  • 派遣社員
  • パート・アルバイト(週20時間以上勤務)
対象にならない人
  • フリーランス・個人事業主
  • 業務委託契約者
  • 週20時間未満のパート・アルバイト
  • 雇用保険未加入者

また、育児休業給付金を受給するためには、育休開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることも条件となります。
転職したばかりの方や、勤務期間が短い方は注意が必要です。

条件②:夫婦ともに14日以上の育休を取得すること

80%引き上げ(出生後休業支援給付金)の最大の特徴は、「夫婦ともに14日以上の育休取得」が条件となっている点です。

具体的な条件
  • 被保険者本人が、対象期間内に14日以上の育休を取得すること
  • 配偶者も、子の出生後8週間以内に14日以上の育休を取得すること
■対象期間の定義
対象者 対象期間
男性(父親) 子の出生日〜出生後8週間以内
女性(母親) 産後休業終了後〜産後休業終了後8週間以内

「14日」は連続して取得する必要はなく、通算で14日以上あればOKです。
また、夫婦が同時期に育休を取得する必要もありません。

14日取得のイメージ例
  • パターン①:14日間連続で取得
  • パターン②:7日間×2回に分割して取得
  • パターン③:週に数日ずつ、合計14日以上取得

ただし、1日でも14日に満たないと80%の対象外となるため、日数のカウントは慎重に行いましょう。

条件③:対象期間は「最大28日間」

出生後休業支援給付金(13%上乗せ)が支給されるのは、最大28日間です。

この「28日間」は、産後パパ育休(出生時育児休業)の取得可能期間と同じ日数に設定されています。

28日間の考え方
  • 育休を28日間取得した場合 → 28日分すべてに80%が適用
  • 育休を14日間取得した場合 → 14日分のみに80%が適用
  • 育休を60日間取得した場合 → 最初の28日分のみ80%、残り32日分は67%

つまり、取得した育休日数と28日のうち、少ない方の日数に対して13%が上乗せされます。

条件④:配偶者要件が免除されるケース

「夫婦ともに14日以上の育休取得」が条件と聞くと、「配偶者が育休を取れない場合はどうなるの?」と不安になる方もいるでしょう。

以下のケースでは、配偶者の育休取得がなくても80%の対象となります:

ケース 具体例
配偶者がいない ひとり親家庭
配偶者が雇用保険非加入 専業主婦(夫)、自営業、フリーランス
配偶者が育休取得困難 病気、障害、海外勤務、単身赴任など
配偶者が産後休業中 母親が産後8週間の休業中(父親の場合)

特に重要なのは、配偶者が専業主婦(夫)の場合や、自営業・フリーランスの場合は、配偶者要件が免除されるという点です。

男性の場合、妻が産後休業中(出産後8週間以内)であれば、妻の育休取得を待たずに80%の対象となります。
これは、産後休業中は法律上、母親が就業できない期間であるためです。

条件⑤:休業中の就業日数・賃金の制限

育休中に働きすぎると、給付金が減額されたり、支給されなくなったりする可能性があります。

就業日数の制限
  • 支給単位期間(1か月)ごとに就業日数が10日以下
  • 10日を超える場合は就業時間が80時間以下
賃金の制限
  • 育休中に会社から支払われる賃金が、休業開始時賃金日額×休業日数の80%以上になると給付金は不支給
  • 13%以上80%未満の場合は、給付金が減額される
育休中の賃金 給付金への影響
13%以下 全額支給
13%超〜80%未満 減額支給
80%以上 不支給

育休中に少し働くことは可能ですが、就業日数や賃金の条件を超えないよう注意が必要です。

【男女別】80%引き上げの対象期間と活用パターン

80%引き上げの対象期間は、男性(パパ)と女性(ママ)で異なります
それぞれの活用パターンを具体的に見ていきましょう。

男性(パパ)の場合:産後パパ育休との組み合わせがカギ

男性が80%給付を最大限活用するには、「産後パパ育休(出生時育児休業)」との組み合わせがポイントです。

産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日間)取得できる制度。
出生後休業支援給付金の対象期間・上限日数とぴったり一致しています。

つまり、産後パパ育休を28日間フル取得すれば、その全期間が80%給付の対象となります。

■男性の育休モデルケース
期間 制度 給付率
出生日〜4週間 産後パパ育休 80%(手取り10割相当)
4週間後〜6か月 通常の育休 67%(手取り8割相当)
6か月〜1歳 通常の育休 50%(手取り6割相当)
男性の活用ポイント
  • 産後パパ育休28日間をフル取得すれば、80%給付を最大限受けられる
  • 分割取得OK(2回まで)で、仕事との両立も可能
  • 産後パパ育休中も労使協定があれば一定の就業が可能(休業日数の半分まで)
  • 産後パパ育休の後に、通常の育児休業も取得できる(合計で最大4回に分割可能)

女性(ママ)の場合:産後休業→育休への切り替えタイミングに注意

女性の場合、80%引き上げの対象期間は「産後休業終了後8週間以内」です。

ここで重要なのは、産後休業中は「出産手当金」が支給され、育児休業給付金とは別の制度であるという点。
産後休業期間(出産後8週間)は育休ではないため、80%の28日間にはカウントされません。

■女性の出産〜育休の給付フロー全体像
期間 制度 給付内容
出産前6週間 産前休業 出産手当金(日額の2/3)
出産後8週間 産後休業 出産手当金(日額の2/3)
産後休業後〜28日間 育児休業(初期) 80%(手取り10割相当)
29日目〜6か月 育児休業 67%(手取り8割相当)
6か月〜1歳 育児休業 50%(手取り6割相当)
女性の活用ポイント
  • 産後休業中は出産手当金(健康保険)が支給される
  • 育児休業給付金80%は産後休業が終わった後からスタート
  • 配偶者(夫)が14日以上育休を取得するか、免除要件に該当する必要あり
  • 出産手当金と育児休業給付金は別制度のため、受給手続きもそれぞれ必要

女性にとっては、出産手当金→80%給付→67%給付→50%給付と段階的に給付内容が変わっていきます。
育休取得前に全体のスケジュールを把握しておくと安心です。

育児休業給付金の上限額はいくら?【2025年8月改定】

育児休業給付金には支給上限額が設けられています。
「育休手当の上限はいくら?」と気になる方のために、2025年8月改定後の最新の上限額を解説します。

賃金日額の上限と支給上限額【2025年8月改定】

2025年8月1日改定後の賃金日額上限は16,110円です(2026年7月31日まで適用)。

この上限額をもとに、各給付期間の支給上限額は以下のとおりです。

■支給上限額一覧(2025年8月〜2026年7月)
給付の種類 給付率 支給上限額
育児休業給付金(最初の28日間) 67% 302,223円(28日分)
出生後休業支援給付金 13% 58,640円(28日分)
80%給付 合計 80% 360,863円(28日分)
29日目〜180日目 67% 323,811円(月額)
181日目以降 50% 241,650円(月額)

月収(額面)が約48.3万円を超える方は上限額に達するため、実際の給付率は80%を下回ります。
高収入者ほど「手取り10割相当」にならない点に注意しましょう。

上限額の引き上げ推移

賃金日額の上限額は、毎年8月1日に見直しが行われます。
近年の推移を確認しておきましょう。

■賃金日額上限と67%給付時の月額上限の推移
適用期間 賃金日額上限 67%月額上限
2023年8月〜 15,430円 310,143円
2024年8月〜 15,690円 315,369円
2025年8月〜 16,110円 323,811円

上限額は年々引き上げられる傾向にあります。最新の金額は厚生労働省の公式ページで確認できます。

【早見表】育児休業給付金80%でいくらもらえる?金額シミュレーション

「結局、自分はいくらもらえるの?」という疑問は、育休取得を検討する方にとって最も気になるポイントでしょう。

ここでは、育児休業給付金の計算方法と、月収別の具体的な金額をわかりやすく解説します。

【早見表】育児休業給付金80%でいくらもらえる?金額シミュレーション

計算式と計算方法

育児休業給付金の支給額は、以下の計算式で算出されます。

基本の計算式
  • 支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 給付率
■各項目の説明
項目 内容
休業開始時賃金日額 育休開始前6か月間の賃金総額 ÷ 180
支給日数 原則30日(月単位で計算)
給付率 80%(最初の28日間)、67%(6か月まで)、50%(6か月以降)
休業開始時賃金日額の計算例(月収30万円の場合)

30万円 × 6か月 = 180万円

180万円 ÷ 180日 = 10,000円(賃金日額)

注意点
  • ボーナス(賞与)は含まれません
  • 残業代や各種手当は含まれます
  • 通勤手当も含まれます

つまり、基本給だけでなく、毎月支給される手当を含めた「総支給額」が計算のベースとなります。
ただし、年に数回支給されるボーナスは対象外です。

月収別・給付金額早見表

「自分の月収だといくらもらえるのか」をすぐに確認できるよう、月収別の早見表を作成しました。

■80%給付(最初の28日間)の支給額早見表
月収(額面) 賃金日額 28日間の支給額 1か月あたり目安
20万円 6,667円 約149,000円 約160,000円
25万円 8,333円 約187,000円 約200,000円
30万円 10,000円 約224,000円 約240,000円
35万円 11,667円 約261,000円 約280,000円
40万円 13,333円 約299,000円 約320,000円
45万円 15,000円 約336,000円 約360,000円
50万円以上 上限適用 約360,863円 約387,000円
■67%給付(29日目〜6か月)との比較
月収(額面) 80%給付(28日間) 67%給付(1か月) 差額
20万円 約149,000円 約134,000円 +約15,000円
25万円 約187,000円 約168,000円 +約19,000円
30万円 約224,000円 約201,000円 +約23,000円
35万円 約261,000円 約235,000円 +約26,000円
40万円 約299,000円 約268,000円 +約31,000円

80%引き上げにより、28日間で約1.5万円〜3万円程度多く受け取れる計算になります。

育休全体でトータルいくらもらえる?長期シミュレーション

「28日間だけ80%」という点を踏まえ、育休期間全体でいくらもらえるのかをシミュレーションしてみましょう。

■月収30万円で育休1年間取得した場合
期間 給付率 日数 支給額
最初の28日間 80% 28日 約224,000円
29日目〜180日目 67% 152日 約1,019,000円
181日目〜365日目 50% 185日 約925,000円
合計 - 365日 約2,168,000円
■月収30万円で育休6か月間取得した場合
期間 給付率 日数 支給額
最初の28日間 80% 28日 約224,000円
29日目〜180日目 67% 152日 約1,019,000円
合計 - 180日 約1,243,000円
■育休期間別の総支給額目安(月収30万円の場合)
育休期間 総支給額 月平均
1か月(28日) 約224,000円 約224,000円
3か月 約627,000円 約209,000円
6か月 約1,243,000円 約207,000円
1年 約2,168,000円 約181,000円

育休期間が長くなるほど、181日目以降の50%給付の期間が増えるため、月平均の支給額は下がります。
育休取得期間を決める際は、この点も考慮しておくとよいでしょう。

申請方法と手続きの流れを詳しく解説

育児休業給付金は、自動的に振り込まれるわけではありません。
適切な手続きを行うことで、はじめて受給できます。

ここでは、申請の流れと必要書類について詳しく解説します。

出生後休業支援給付金の申請方法

2025年4月から新設された「出生後休業支援給付金」は、従来の育児休業給付金と同時に申請するのが原則です。

申請のポイント
  • 育児休業給付金と同じ申請書で申請可能
  • 「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」を使用
  • 配偶者の育休取得状況を申告する欄がある
■配偶者の情報が必要なケース
配偶者の状況 申請書への記載
配偶者が雇用保険被保険者 配偶者の被保険者番号を記載
配偶者が公務員 配偶者の育児休業開始年月日を記載
配偶者が専業主婦(夫) 「配偶者の状態」欄に該当事由を記載
ひとり親 「配偶者の状態」欄に該当事由を記載

配偶者が雇用保険被保険者の場合、ハローワークが配偶者の育休取得状況を確認します。
配偶者の被保険者番号がわからない場合は、配偶者の会社に確認しましょう。

必要書類一覧

育児休業給付金の申請に必要な書類は、会社が用意するもの従業員が用意するものに分かれます。

■会社が用意・作成する書類
書類名 内容
育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書 ハローワークで取得または電子申請
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 育休前6か月間の賃金を証明
賃金台帳の写し 賃金の支払状況を確認
出勤簿またはタイムカードの写し 出勤状況を確認
■従業員が用意する書類
書類名 内容
母子健康手帳の写し 出産日・子の氏名を確認(出生届出済証明のページ)
マイナンバー確認書類 マイナンバーカードまたは通知カード+身分証明書
振込先口座の通帳写し 給付金の振込先を確認
2回目以降の申請に必要な書類
  • 育児休業給付支給申請書
  • 賃金台帳・出勤簿の写し(該当期間分)

2回目以降は必要書類が少なくなりますが、2か月に1回の申請が必要です。
会社の担当者と連携して、漏れのないようにしましょう。

いつ届く?初回振込までの期間

「育休が始まったのに、給付金がなかなか届かない…」という声は少なくありません。
初回振込までのスケジュールを把握しておきましょう。

■初回振込までの流れと期間
ステップ 期間の目安
育休開始 -
会社が申請書類を準備 育休開始後〜1か月程度
ハローワークへ申請 育休開始から1〜2か月後
ハローワークで審査・支給決定 申請から約2週間
口座へ振込 支給決定から約1週間
初回振込 育休開始から約2〜3か月後
振込が遅れる主なケース
  • 申請書類に不備があった場合
  • 会社の申請手続きが遅れた場合
  • 配偶者の育休取得確認に時間がかかった場合
  • ハローワークの繁忙期(4月前後など)

初回振込まで2〜3か月かかることを想定し、以下の対策をおすすめします。

振込までの生活費対策
  • 育休前に2〜3か月分の生活費を貯蓄しておく
  • 出産手当金(健康保険から支給)の振込時期を確認する
  • 会社に育休中の給与支払いの有無を確認する

なお、初回以降は原則2か月に1回のペースで振り込まれます。
会社によっては、従業員の希望により1か月に1回の申請に変更できる場合も。
ぜひ、担当者に相談してみましょう。

育児休業給付金はいつまでもらえる?延長の条件も解説

育児休業給付金は、原則として子が1歳になるまで受給できます。
ただし、一定の条件を満たせば最大2歳まで延長が可能です。

基本の受給期間(原則:子が1歳になるまで)

育児休業給付金の受給期間と給付率の全体タイムラインは以下のとおりです。

■受給期間と給付率の全体タイムライン
期間 給付率 月収30万円の場合の目安
最初の28日間 80% 約224,000円(28日間)
29日目〜180日目 67% 約201,000円/月
181日目〜1歳 50% 約150,000円/月
延長:1歳〜1歳半 50% 約150,000円/月
再延長:1歳半〜2歳 50% 約150,000円/月

なお、「パパ・ママ育休プラス制度」を利用すれば、延長しなくても子が1歳2か月になるまで受給期間を延ばすことが可能です。
これは、夫婦が交代で育休を取得する場合に活用できる制度です。

延長で最大2歳まで受給可能|条件と手続き

保育所に入所できないなどの事情がある場合、育児休業給付金の受給期間を延長できます。

■延長が認められる条件
延長パターン 認められる条件
1歳→1歳6か月 ・保育所等に入所できなかった場合
・配偶者の死亡・傷病・障害等で養育困難となった場合
1歳6か月→2歳 ・上記と同じ条件が1歳6か月時点で引き続き該当する場合
延長手続きのポイント
  • 保育所不承諾の場合は「入所不承諾通知書」が必要
  • 子が1歳になる誕生日の前日までに保育所の申し込みをしておくことが前提
  • 延長申請は通常の支給申請と同時に行う(2か月ごと)
  • 入所希望日は子の1歳の誕生日以前である必要がある

延長を希望する場合は、子が1歳になる前に必ず保育所の入所申し込みを行い、不承諾通知書を受け取っておくことが重要です。
申し込みをしていなかった場合、延長が認められない可能性があるため注意しましょう。

あわせて知りたい!2025年4月施行の「育児時短就業給付金」とは

80%引き上げと同じ2025年4月に、もうひとつの新制度が始まりました。
それが「育児時短就業給付金」です。育休から復帰して時短勤務を選ぶ方にとって、収入減を一部補填してくれる制度です。

育児時短就業給付金の対象者・条件・支給額

■育児時短就業給付金の概要
項目 内容
対象者 2歳未満の子を養育するため時短勤務をしている雇用保険被保険者
支給額 時短勤務中の賃金の10%(時短後の賃金が時短前の90%以下の場合)
支給期間 子が2歳になるまで
申請先 事業所管轄のハローワーク
支給上限額 471,393円/月(2025年8月〜)
具体例|月収30万円→時短で24万円になった場合
  • 時短後の賃金24万円が、時短前の賃金30万円の90%(27万円)以下のため対象
  • 支給額 = 24万円 × 10% = 24,000円/月
  • 時短勤務中の実質収入 = 24万円 + 2.4万円 = 264,000円/月

育児休業給付金とは別の制度であり、育休から復帰して時短勤務を始めた後に受給するものです。
育休中の給付金と合わせて、出産から子が2歳になるまで切れ目のない経済的支援を受けられる仕組みとなっています。

【Q&A】育児休業給付金80%引き上げのよくある質問

育児休業給付金の80%引き上げについて、読者から寄せられることの多い疑問にQ&A形式でお答えします。

質問1. 夫が育休を取れない場合、妻だけでも80%になる?

答え. 原則として対象外ですが、例外もあります。

出生後休業支援給付金(13%上乗せ)は、「夫婦ともに14日以上の育休取得」が基本条件です。
そのため、夫が育休を取得できない場合、妻は原則として80%の対象外。従来の67%が適用されます。

ただし、以下のケースは例外として配偶者要件が免除されます。

免除されるケース 具体例
配偶者が専業主夫 夫が雇用保険に加入していない
配偶者が自営業・フリーランス 夫が個人事業主として働いている
配偶者が育休取得困難 夫が病気、障害、海外勤務など
ひとり親家庭 離婚、死別などで配偶者がいない

夫が会社員だが「会社の雰囲気的に育休を取りにくい」という理由では、残念ながら免除の対象にはなりません。
80%引き上げを受けるためには、夫婦で協力して14日以上の育休取得を計画することが重要です。

質問2. パート・アルバイトでも対象になる?

答え. 雇用保険に加入していれば対象になります。

育児休業給付金は、雇用形態ではなく雇用保険の加入状況で判断されます。
パートやアルバイトでも、以下の条件を満たして雇用保険に加入していれば受給対象です。

雇用保険の加入条件
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

さらに、育児休業給付金の受給には以下の条件も必要です。

  • 育休開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12か月以上ある
  • (11日以上の月が12か月ない場合)賃金支払基礎となった時間数が80時間以上の月が12か月以上ある

週20時間以上働いているパート・アルバイトの方で、1年以上継続して勤務している場合は、多くのケースで対象になります。
不安な場合は、会社の人事担当者やハローワークに確認しましょう。

質問3. 公務員は対象になる?

答え. 雇用保険に加入していない公務員は対象外です。

国家公務員や地方公務員の多くは、雇用保険の適用除外となっています。
そのため、育児休業給付金(雇用保険から支給)の対象にはなりません。

■公務員の育休中の経済的支援
区分 支援制度
国家公務員 育児休業手当金(共済組合から支給)
地方公務員 育児休業手当金(共済組合から支給)

公務員向けの育児休業手当金も、民間の育児休業給付金と同様の給付率(最初の180日は67%、以降50%)が適用されています。
2025年4月以降の80%引き上げに相当する制度改正があるかどうかは、所属する共済組合や人事担当部署に確認してください。

例外: 一部の公務員(臨時職員、会計年度任用職員など)で雇用保険に加入している場合は、育児休業給付金の対象となる可能性があります。

質問4. 育休中に少し働いても大丈夫?

答え. 一定の範囲内であれば、給付金を受け取りながら働くことができます。

育休中の就業には制限がありますが、完全に働いてはいけないわけではありません。

■就業可能な範囲
条件 基準
就業日数 支給単位期間(1か月)ごとに10日以下
就業時間 10日を超える場合は80時間以下
■就業日数・時間と給付金の関係
就業状況 給付金への影響
10日以下かつ80時間以下 全額支給(賃金額による調整あり)
10日超かつ80時間以下 全額支給(賃金額による調整あり)
10日超かつ80時間超 不支給

また、就業して賃金を受け取った場合、その金額によって給付金が調整されます。

■賃金と給付金の調整
育休中の賃金 給付金
休業前賃金の13%以下 全額支給
休業前賃金の13%超〜80%未満 減額支給
休業前賃金の80%以上 不支給

「緊急の業務対応で数日だけ働きたい」といった場合は、10日以内・80時間以内に収めましょう。
就業日数・時間・賃金のいずれかが基準を超えると支給調整または不支給になる可能性があります。
この点だけ気を付ければ、育休中に働いても大丈夫です。

質問5. 2人目・3人目の育休でも対象になる?

答え. 条件を満たせば、何人目の子どもでも対象になります。

育児休業給付金の80%引き上げ(出生後休業支援給付金)は、第1子に限った制度ではありません。
第2子、第3子であっても、以下の条件を満たせば対象となります。

80%引き上げの条件(再掲)
  • 雇用保険の被保険者であること
  • 夫婦ともに14日以上の育休を取得すること(例外あり)
  • 子の出生後8週間以内(女性は産後休業後8週間以内)に取得すること
■2人目以降で注意すべき点
注意点 内容
雇用保険の加入期間 1人目の育休中は賃金支払いがないため、加入期間の計算に注意
受給資格の確認 育休開始前2年間(最大4年間まで延長可)に12か月以上の勤務実績が必要
上の子の保育 育休中に上の子が保育園を退園になるケースもあるため確認を

1人目の育休から復帰後、短期間で2人目を妊娠した場合でも、受給資格の計算期間が最大4年間まで延長されます。

なので多くの場合は対象になります。不安な場合は、会社の人事担当者やハローワークに事前確認しておきましょう。

質問6. 育児休業給付金は非課税?確定申告は必要?

答え. 育児休業給付金は全額非課税です。確定申告も原則不要です。

出生後休業支援給付金(13%上乗せ分)も同様に非課税となります。

■育休関連の給付金と課税関係
給付金の種類 所得税 住民税
育児休業給付金 非課税 非課税
出生後休業支援給付金 非課税 非課税
出産手当金 非課税 非課税
出産育児一時金 非課税 非課税

育休を取得した年に給与収入もあった場合は、年末調整の対象となります。
育児休業給付金の金額を確定申告書に記載する必要はありません。

質問7. 育休中に退職したら給付金はどうなる?

答え. 2025年4月の法改正により、退職日を含む支給単位期間についても退職日までの日数分が支給されます。

すでに受け取った給付金を返還する必要はありません。
ただし、育休取得の当初から退職を予定している場合は、受給資格自体が認められない可能性があります。

退職のタイミングと給付金への影響
  • 退職日を含む支給単位期間も、退職日までの日数分が支給される(2025年4月改正)
  • 退職後は被保険者資格を喪失するため、以降の給付金は受けられない
  • 退職後に再就職しても、同じ子についての育児休業給付金は受給できない

育休中の退職を検討する場合は、給付金への影響を事前にハローワークに確認しておくことをおすすめします。

まとめ:80%引き上げを最大限活用するためのポイント

ここまで、育児休業給付金の80%引き上げについて詳しく解説してきました。
最後に、重要なポイントをおさらいし、制度を最大限活用するためのアクションをご紹介します。

仕組み
  • 従来の育児休業給付金(67%)に「出生後休業支援給付金」(13%)が上乗せされ、合計80%
  • 社会保険料免除・非課税と合わせて手取り実質10割相当
  • 2025年4月1日から開始済み(現在は適用中)
条件
  • 雇用保険の被保険者であること
  • 夫婦ともに14日以上の育休を取得すること
  • 対象期間:男性は出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内
  • 最大28日間のみ80%が適用
  • ※ 例外:専業主婦(夫)家庭、ひとり親家庭、配偶者が自営業などの場合は配偶者要件が免除

注意点
  • 28日間を過ぎると67%(6か月以降は50%)に戻る
  • 高収入者は上限額により「10割」にならないケースあり
  • 初回振込まで2〜3か月かかる
  • 保育所に入れない場合は延長制度(最大2歳まで)を活用
  • 育休復帰後の時短勤務には育児時短就業給付金が利用可能
小川 実(おがわ・みのる)
このサイトの管理者

小川 実(おがわ・みのる)

成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、
平成10年3月 税理士登録、個人事務所開業
平成14年4月 税理士法人HOP設立
平成18年3月 慶応大学補佐人講座受講
平成19年4月 成城大学非常勤講師
平成23年12月 一般社団法人相続診断協会 代表理事就任
令和2年11月 一般社団法人成長企業研究会 代表理事就任
令和5年11月 著書『小さな会社の「仕組み化」はなぜやりきれないのか』 出版
税理士・上級相続診断士・行政書士・終活カウンセラー2級。

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