前年の利益が大きかったため法人税、地方法人税、法人住民税、事業税等の予定納税額が高額となりました。今期は売上が減少しており、見込みでも前年を下回る予測をしています。この予定納税額では資金繰りが厳しくなる可能性があります。納税に関して何か方法はありますでしょうか。
今期の業績の見込みと納税予測をもとに、仮決算による中間申告を提案・サポートし、法人税等の中間納税の資金繰りへの影響を軽減しました。
法人の課税期間が1年の場合、原則として事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に中間申告書を提出する必要があります。
中間申告には以下の2種類があり、いずれかを選択することができます。
※中間申告書を提出すべき法人がその中間申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限において「1.予定申告」があったものとみなされます。
予定申告に係る法人税等の納税額は一般に予定納税額と呼ばれます。予定納税額の算定は、前年分の税額を基準に自動で計算されます。中間納税はあくまで前払いであり、最終的には確定申告で精算されます。
※消費税も同様に中間申告制度があり、仮決算に基づく中間申告で中間納税額を減少させることができます。
・今期の業績
前期に比べて利益が大幅に減少すると見込まれる場合は仮決算をして、中間納税額を抑えることで、納税による資金繰りへの影響を緩和できます。
・資金繰り状況
資金繰りが懸念される状況であれば、先の通り仮決算に基づく中間申告をするとよく、資金繰りにゆとりがある場合には、予定申告及び予定納税を行い、確定申告時に精算する方法でもよいでしょう。
・仮決算の業務負荷
仮決算では6か月経過時点での試算表の作成や申告書の作成が必要となります。帳簿記帳状況や申告対応に係る手間と費用の検討も重要になります。
今回の事例では、業績の着地見込みのヒヤリングと納税予測、申告の流れとそれに係る費用をご説明したうえで、中間申告をサポートさせていただきました。
予定納税額は「前期の実績ベース」で計算されるため、業績変動がある企業では仮決算に基づく中間申告が重要なケースがあります。中間納税額を適正に見直すことで資金繰りに余裕が生まれ、運転資金の確保が可能になります。そのためにも月次決算で進捗を把握していることが重要であることが分かります。
事業の業績と資金繰りは必ずしも一致しません。HOPでは、キャッシュフロー管理と業績予測を適切に行うことで、資金繰りの悪化を事前に把握することに努めます。経営に活かせる月次決算をご希望の方は気軽にご相談ください。
(文責:木村 光希)