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更新日:2026年3月3日
算定とは、「法令や基準という一定のルールに基づいて数値を計算し、金額を確定させること」を指します。
中でも重要なのが、毎年7月に行われる社会保険料の「算定(定時決定)」です。この手続きを間違えると、従業員の手取り額に誤りが生じたり、会社が支払う社会保険料の負担額が不適切になったりするリスクがあります。
● なぜ「4月〜6月」の給与が重要なのか?
● 「算定基礎届」はいつ、どこに出せばいいのか?
● 決定した保険料は、いつの給与から引けばいいのか?
本記事では、算定の基本的な意味から、実務で必要な社会保険・給与計算の手順、医療・介護分野での使われ方まで、ポイントを絞って丁寧に解説します。
目次
「算定」という言葉は、ビジネスや行政の場面で頻繁に使われます。
まずは基本的な意味と読み方、そしてどのような場面で使われるのかを確認しましょう。
算定の読み方は「さんてい」です。一言でいうと「特定のルールに沿って、金額や数値を計算して決めること」を指します。単なる計算と異なり、根拠となる基準(法律など)があるのが特徴です。
たとえば、健康保険法や厚生年金保険法では「標準報酬月額を算定する」という表現が使われます。
これは、法律で定められた方法に従って保険料の基準となる金額を決定することを意味します。
算定という言葉は、主に以下の4つの分野で使われます。
社会保険担当者にとって最も身近なのは社会保険料の算定で、毎年7月10日までに「算定基礎届」を提出し、4月・5月・6月の報酬をもとに標準報酬月額を決定します。この手続きを「定時決定」と呼び、決定された標準報酬月額は9月から翌年8月まで適用されます。
算定は保険料・医療費・介護費用など「お金」の確定作業であり、従業員の給与控除額や事業所の請求額に直結するため重要です。ルール(基準)と元データ(報酬・日数・点数・単位数など)のどちらかがズレると過不足請求や再計算につながるので、まず「何に基づいて計算するか(基準)」を正確に押さえるのが実務の近道です。
社会保険料の算定は、給与計算担当者にとって毎年必ず発生する重要な業務です。
ここからは、社会保険料の算定の仕組み、標準報酬月額の概念、報酬月額に含まれるもの・含まれないものを解説します。
社会保険料は、4月・5月・6月に支払われた報酬の平均額をもとに「標準報酬月額」を決定。
これに保険料率を掛けて算定する手続きを、「定時決定」と呼びます。
定時決定は、年1回行われます。
実際の給与額と保険料の計算に使う「標準報酬月額」が大きく違ってしまわないようにすることが、この制度の目的です。
決定された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの1年間適用されます(随時改定がない限り)。
そのため、4月〜6月の報酬が年間の保険料に大きく影響することになります。
標準報酬月額とは、報酬月額を一定の幅で区切り、等級に当てはめた金額のことです。健康保険料・厚生年金保険料を計算するための基準となります。
等級で区分しているのは、報酬月額をそのまま使うと計算が煩雑になるためです。
等級ごとに保険料額が決まっているため、給与計算が簡便になるというメリットがあります。
| 区分 | 等級数 | 最低額 | 最高額 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 50等級 | 5万8,000円 | 139万円 |
| 厚生年金保険 | 32等級 | 8万8,000円 | 65万円 |
2026年2月現在、厚生年金保険の標準報酬月額は32等級に区分されています。
なお、2025年6月に成立した年金制度改正法により、2027年9月以降、厚生年金の上限が段階的に75万円まで引き上げられる予定です。
報酬月額には、労働の対償として事業主から継続して受けるすべてのものが含まれます。現金だけでなく、通勤手当や社宅など現物で支給されるものも対象です。
一方で、3か月を超える期間ごとに支給される賞与や、結婚祝金・弔慰金など臨時・恩恵的に支払われるもの、実費弁償として支給される出張旅費などは、原則として報酬月額には含まれません。
| 報酬月額に含まれるもの | 報酬月額に含まれないもの |
|---|---|
| 基本給 | 年3回以下の賞与(標準賞与額の対象) |
| 残業代・時間外手当 | 結婚祝い金・出産祝い金 |
| 通勤手当 | 見舞金・弔慰金 |
| 住宅手当・家族手当 | 退職金(臨時・一時的給付) |
| 役職手当 | 出張旅費などの実費弁償(通常は含めない) |
| 年4回以上支給される賞与(報酬として扱う) | 大入袋・寸志などの臨時的な支給 |
なお、年3回以下の賞与は標準報酬月額には含まれませんが、標準賞与額の対象となります。年4回以上支給される賞与は「報酬」とみなされ、標準報酬月額に含めて扱われます。
通勤手当(交通費)は、税金(所得税)では非課税枠がありますが、社会保険の算定では全額を報酬に含めます。また、社宅や食事代などの「現物支給」も、都道府県等で定められた価額に換算して報酬に含めます。
算定基礎届(被保険者報酬月額算定基礎届)は、定時決定を行うために事業主が日本年金機構に提出する届出書類です。対象者の条件、書き方のポイント、提出時期と提出方法を解説します。
算定基礎届の対象者は、7月1日時点で社会保険に加入しているすべての被保険者です。
70歳以上の被保険者も対象に含まれます。
ただし、以下に該当する人は算定基礎届の提出が不要となっています。
6月1日以降に入社した人は、資格取得時に翌年8月までの標準報酬月額が決定しているため、算定の対象外となります。
また、7月・8月・9月に月額変更届(随時改定)の対象となる人は、そちらが優先です。
算定基礎届には、原則として4月・5月・6月の各月に支払われた報酬総額と支払基礎日数を記入し、その3か月の平均報酬額から標準報酬月額を決定して届け出ます。
一般被保険者については、支払基礎日数が17日未満の月は、原則として算定の対象外です。短時間労働者(パートタイマー等の短時間被保険者)については、支払基礎日数が11日以上の月を算定対象とします。
なお、4月〜6月が一時的に極端に忙しいなどの理由により、この3か月の平均報酬額から決定される標準報酬月額が、年間を通じた実際の報酬水準より2等級以上高くなると認められる場合には、「保険者算定による特例(いわゆる年間平均)」を申し立てることができます。事業主による申立書と被保険者本人の同意が必要ですが、不当に高い保険料負担を避けるための重要なルールです。
算定基礎届は、毎年7月1日〜7月10日の期間に日本年金機構(年金事務所)へ提出します。10日が土曜・日曜の場合は翌営業日が期限です。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、健康保険組合に加入している場合は、日本年金機構と健康保険組合の両方へ提出が必要です。提出方法は電子申請・電子媒体・郵送・窓口持参に対応しています。
届出用紙は6月中旬頃に日本年金機構から事業所へ送付されます。日本年金機構のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。
なお、資本金1億円超の特定法人は電子申請が義務化されています。該当する事業所は必ず電子申請で提出してください。
算定基礎届で決定された標準報酬月額は、いつから給与に反映されるのでしょうか。
ここからは、当月払い・翌月払いの違いや、月額変更届との使い分けについて解説します。
算定基礎届で決定した新しい標準報酬月額は、9月分の保険料から適用されます。この標準報酬月額は、随時改定がない限り翌年8月分まで1年間適用されます。
決定通知書が届いたら、内容を確認し、給与計算システムに新しい標準報酬月額を反映させる必要があります。
社会保険料は「当月分を翌月末に納付」するのが原則です。そのため、給与からの控除タイミングは会社の給与支払いパターンによって異なります。
| 控除方式 | 9月分保険料の控除タイミング |
|---|---|
| 翌月払い(翌月控除) | 10月支給の給与から控除 |
| 当月払い(当月控除) | 9月支給の給与から控除 |
翌月払いの会社では、9月分の保険料は10月支給の給与から控除されます。当月払いの会社では9月支給の給与から控除です。自社の給与支払いパターンを確認し、正しいタイミングで控除するようにしましょう。
算定基礎届(定時決定)と月額変更届(随時改定)は、いずれも標準報酬月額を見直すための手続きです。
しかし、目的とタイミングが異なります。
| 項目 | 算定基礎届(定時決定) | 月額変更届(随時改定) |
|---|---|---|
| 目的 | 年1回の定期見直し | 固定的賃金の変動に対応 |
| 対象者 | 全被保険者 | 条件を満たす被保険者のみ |
| 提出時期 | 毎年7月1日〜10日 | 変動があった都度 |
| 適用時期 | 9月から | 変動月から4ヶ月目 |
| 条件 | なし(全員対象) | 2等級以上の差+固定的賃金の変動 |
月額変更届は、昇給・降給など固定的賃金に変動があり、3ヶ月間の報酬平均で2等級以上の差が生じた場合に提出します。新しい標準報酬月額は、変動月から4ヶ月目に適用です。
7月・8月・9月に月変の要件を満たす場合は、算定ではなく月変が優先。該当する従業員がいないか確認しておきましょう。
「算定」という言葉は、社会保険以外にも医療や介護の分野で使われます。
それぞれの意味を簡潔に見ておきましょう。
診療報酬の算定とは、厚生労働省が定めた「診療報酬点数表」に基づいて診療行為ごとの点数を計算し、その合計から医療費(診療報酬額)を確定することです。
1点=10円を基本として、初診料・再診料・検査料・手術料などの点数を合計して医療費を算出します。患者は原則として1〜3割を自己負担し、残りは保険者(健康保険組合、協会けんぽ、市町村国保など)が負担します。
入院医療の一部では、出来高払いとは別に、DPC(診断群分類)に基づく包括評価が導入されており、DPCの包括点数表に基づいて点数を算定する仕組みもあります。
診療報酬は原則2年に1回改定され、点数や算定要件が見直されます。医療事務の現場では、最新版の点数表と算定ルールを踏まえた正確な点数計算が欠かせません。
介護報酬の算定とは、介護サービスごとに厚生労働省が定めた「単位数」に基づいて介護費用を計算することです。
1単位=約10円(地域によって異なる)で計算され、基本報酬に加算・減算を適用して費用が決まります。利用者は1〜3割を自己負担し、残りは介護保険から支払われます。
地域区分は1〜7級地+その他の8段階に分かれており、人件費が高い大都市ほど1単位の単価が高くなります。介護報酬は3年に1回の改定です。
最後に、算定に関してよくある質問をまとめました。
4月〜6月の報酬には残業代も含まれるため、この期間に残業が多いと標準報酬月額が上がり、9月以降1年間の保険料が高くなる可能性があります。基本給だけでなく、通勤手当や残業手当などすべての報酬が算定の対象です。
ただし、業務の性質上4〜6月が繁忙期にあたり、通常の月と報酬が著しく異なる場合は、前年7月〜当年6月の12か月間の平均報酬で算定する「年間平均の保険者算定」を申請できます。適用には、通常の算定と年間平均の算定で2等級以上の差があること、例年同様の傾向があること、被保険者本人の同意があることの3要件を満たす必要があります(健康保険法第44条第1項、厚生年金保険法第24条第1項)。
提出期限(7月1日〜7月10日)を過ぎると、年金事務所から文書や電話で届出を催告されます。それでも届出がない場合は立入検査が行われたり、最終的には厚生労働大臣による職権決定で標準報酬月額が決められます。職権決定では実態より高い標準報酬月額が設定されるおそれもあります。
もし意図的に虚偽の届出を行った場合には、健康保険法や厚生年金保険法に基づき「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」(健康保険法第208条、厚生年金保険法第102条)という罰則が科される可能性もあります。実務上はまず指導が入りますが、コンプライアンスの観点から正確な算定が不可欠です。
産前産後休業中・育児休業中であっても被保険者資格は継続しているため、算定基礎届の提出は必要です。4月〜6月に報酬の支払いがない場合は報酬欄に0円と記入し、備考欄で「病休・育休・休職等」に該当する旨を記載します。この場合、従前の標準報酬月額がそのまま適用されます。
なお、産休・育休期間中は事業主負担分・被保険者負担分ともに保険料が免除されますが、届出義務自体は免除されません。また、育児休業から復帰後に時短勤務などで報酬が下がった場合は、「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出することで、通常の随時改定(2等級以上の差が必要)とは異なり1等級の差でも標準報酬月額を改定できます。
算定基礎届は社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続きで、4月〜6月の報酬をもとに被保険者ごとの標準報酬月額を決定するものです。一方、年度更新は労働保険(労災保険・雇用保険)の手続きで、前年度の賃金総額をもとに事業所単位で保険料を確定・精算します。届出先も算定基礎届は年金事務所、年度更新は労働基準監督署と異なります。
提出時期は算定基礎届が7月1日〜7月10日、年度更新が6月1日〜7月10日と重なるため、実務では同時期に並行して進めることになります。算定基礎届は「個人ごと」に標準報酬月額を決める手続き、年度更新は「事業所全体」の賃金総額で保険料を算出する手続きと整理しておくとわかりやすいでしょう。
6月1日以降に入社(社会保険の資格取得)した従業員は、その年の算定基礎届の対象外です。入社時に提出する「被保険者資格取得届」によって標準報酬月額が決定(資格取得時決定)され、この金額が翌年8月まで適用されるため、改めて定時決定を行う必要はありません。
一方、1月〜5月に入社した従業員は、7月1日時点で被保険者であれば算定基礎届の対象です。ただし、入社月は報酬が満額支給されていない場合があるため、支払基礎日数が17日未満の月は算定から除外されます。たとえば4月15日入社で4月の支払基礎日数が17日未満の場合、5月と6月の2か月の平均で算定します。
本記事では「算定」の基本的な意味から、実務で重要となる社会保険料の決定プロセスまで詳しく解説しました。最後に、特に押さえておくべき重要ポイントを振り返ります。
・算定とは: 単なる計算ではなく、法令などの「一定のルールに基づいて金額を確定させること」。
・社会保険の算定(定時決定): 毎年4月〜6月の報酬をもとに、9月からの1年間の社会保険料(標準報酬月額)を決める重要行事。
・実務の注意点: 通勤手当や残業代も算定の対象に含める必要がある。所得税(非課税)の考え方と混同しないよう注意が必要。
・反映時期: 新しい保険料は9月分(翌月払いの場合は10月支給給与)から適用される。
「算定」は、従業員の手取り額や会社のコストに直結する、責任の大きな業務です。しかし、基本的なルールとスケジュールさえ押さえれば、決して怖いものではありません。
毎年7月の「算定基礎届」の時期をスムーズに乗り切るために、本記事の内容をぜひ実務のガイドとしてお役立てください。
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