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更新日:2026年4月24日
会社を設立したら、社長の給料である「役員報酬」をどう決めるか悩む経営者は多いでしょう。
役員報酬は税金や社会保険料に大きく影響するため、適当に決めると損をしてしまうこともあります。
本記事では、役員報酬の基本的な仕組みから、相場・決め方・税金・社会保険料・変更手続きまでをわかりやすく解説します。
一人社長や合同会社の経営者、これから会社を設立する予定の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
役員報酬とは、会社の役員(取締役、監査役など)に対して支払われる報酬のことです。
従業員の給与とは異なり、税務上のルールが細かく定められており、適切に支払わないと会社の経費(損金)として認められない場合があります。
まずは役員報酬の基本的な仕組みを理解しましょう。
役員報酬とは、会社の役員に対して支払われる報酬のことです。
法人税法上の「役員」は、会社法上の役員よりも範囲が広い点に注意しましょう。
会社法上の「役員」は取締役・会計参与・監査役の3種類(会社法第329条)。これに執行役と会計監査人を加えた5つが「役員等」(会社法第423条)と呼ばれます。各機関の役割は以下のとおりです。
| 役員の種類 | 主な役割 |
|---|---|
| 取締役 | 会社の業務執行・経営判断を行う。すべての株式会社に1名以上必要 |
| 監査役 | 取締役の業務執行を監査する。大会社や公開会社で設置義務あり |
| 会計参与 | 取締役と共同で計算書類を作成する。税理士・公認会計士が就任 |
| 執行役 | 指名委員会等設置会社において業務を執行する。取締役会から権限委譲を受ける |
| 会計監査人 | 計算書類の監査を行う。公認会計士または監査法人が就任 |
このうち税法上「役員報酬」の対象となるのは、会計監査人を除く4種類(取締役・会計参与・監査役・執行役)です。会計監査人は外部の公認会計士・監査法人への報酬として、役員報酬ではなく委任契約に基づく経費で処理されます。
特に注意が必要なのは「みなし役員」です。
同族会社(株式の50%超を親族などで保有する会社)では、一定の持株要件を満たし経営に従事している使用人も税務上の役員として扱われます。
会社法上の役員ではない場合も、同様です。
みなし役員に該当すると、その人への給与は役員報酬として扱われます。
後述する定期同額給与などの要件を満たさないと損金不算入となるので注意が必要です。
役員報酬と従業員給与は、支払いのルールや税務上の取り扱いが大きく異なります。
主な違いは以下の7点です。
| 項目 | 役員報酬 | 従業員給与 |
|---|---|---|
| 損金算入 | 定期同額給与等の要件を満たす必要あり | 全額損金算入可能 |
| 金額変更 | 原則として年1回(期首3ヶ月以内) | 随時変更可能 |
| 割増賃金 | 支払い義務なし | 支払い義務あり |
| 最低賃金 | 適用なし | 適用あり |
| 日割り計算 | 原則不可(定期同額が崩れる) | 可能 |
| 労働保険 | 加入対象外 | 加入対象 |
| 契約関係 | 委任契約 | 雇用契約 |
最も大きな違いは損金算入のルールです。
従業員給与は全額が会社の経費として認められます。
しかし、役員報酬は「定期同額給与」などの一定の要件を満たさないと経費として認められません。
また、役員は労働者ではなく会社と委任契約を結んでいるため、残業代や最低賃金、労働保険の対象外となります。
「役員報酬は会社の経費として認められるのか?」という疑問を持つ経営者は多いでしょう。
結論として、一定の要件を満たせば役員報酬は法人税の計算上、損金(経費)に算入できます。
ただし、従業員給与とは異なり、無条件に全額が経費になるわけではありません。損金に算入するためには、次の3つの支払い方法のいずれかに該当する必要があります。
逆に、以下のようなケースでは損金不算入(経費として認められない)となります。
損金不算入になると、支払った役員報酬に対して法人税が課税されるうえ、受け取った役員個人にも所得税がかかるため、二重課税の状態になります。
役員報酬の支払い方法について、以下でさらに詳しく解説します。
税務上、役員報酬は毎月の報酬である「役員給与」と、臨時の報酬である「役員賞与」に大別されます。いずれも損金算入が認められるには、以下3つの支払い方法のいずれかに該当する必要があります。
| 支払い方法 | 該当する報酬種別 | 概要 | 届出の要否 |
|---|---|---|---|
| 定期同額給与 | 役員給与(毎月) | 毎月同じ金額を支払う方法。中小企業で最も一般的 | 届出不要 |
| 事前確定届出給与 | 役員賞与(臨時) | あらかじめ届出た時期・金額を支払う方法。賞与・ボーナス支給に利用 | 税務署への届出が必要 |
| 業績連動給与 | 役員賞与(業績連動) | 会社の利益に連動して支払う方法。有価証券報告書提出会社のみ利用可能 | 届出不要(上場企業向け) |
中小企業では「定期同額給与」が最も一般的です。
毎月決まった金額を支払えばよく、税務署への届出も不要なため手続きが簡単で、多くの企業で利用されています。
役員に賞与(ボーナス)を支給したい場合は「事前確定届出給与」を利用します。
ただし、届出た金額と実際の支給額が1円でも異なると全額が損金不算入になるため、注意が必要です。
「業績連動給与」は有価証券報告書を提出している上場企業向けの制度であり、中小企業は実質的に利用できません。
役員報酬を決める際に気になるのが「他の会社はいくら払っているのか」という相場です。
役職別の平均年間報酬と、中小企業・一人社長の目安を順に見ていきましょう。
役員報酬の相場は、役職によっても大きく異なります。
人事院「民間企業における役員報酬(給与)調査」の公的統計データをもとに、役職別の平均年間報酬をまとめました。
| 役職 | 平均年間報酬 | 月額換算 |
|---|---|---|
| 社長 | 約5,196万円 | 約433万円 |
| 副社長 | 約4,494万円 | 約374万円 |
| 専務 | 約3,246万円 | 約270万円 |
| 常務 | 約2,480万円 | 約206万円 |
| 専任取締役 | 約2,086万円 | 約173万円 |
| 部長等兼任取締役 | 約1,746万円 | 約145万円 |
| 監査等委員 | 約2,054万円 | 約171万円 |
| 監査役 | 約1,694万円 | 約141万円 |
| 専任執行役員 | 約2,368万円 | 約197万円 |
※出典:人事院「民間企業における役員報酬(給与)調査」
上記は調査対象企業の水準であり、中小企業ではこれより大幅に低くなる傾向があります。
自社の役員報酬を検討する際は、同業種・同規模の相場データと比較しながら設定するのが効果的です。
中小企業の社長の役員報酬は、月額30万〜100万円が一般的な目安です。
一人社長や創業間もない会社の場合は、さらに低く設定するケースも多くあります。
一人社長の場合、年収600万〜700万円(月額50万〜60万円)あたりが税負担と手取りのバランスが良いとされています。
この水準は、所得税の累進税率と法人税率の均衡点に近く、節税効果を得やすい金額帯です。
ただし、役員報酬の適正額は会社の利益状況や経営者の生活費によって異なります。
後述する税金・社会保険料のシミュレーションを行った上で決定しましょう。
「役員報酬は売上の〇%」という決め方をする経営者もいますが、適正額は売上ではなく「利益」を基準に考えるべきです。
売上が大きくても利益が少なければ、高額な役員報酬を支払うことはできません。
一般的に、粗利益の10〜30%程度が役員報酬の目安とされますが、業種・利益率・経営状況によって大きく異なります。
役員報酬が「不相当に高額」と税務署に判断された場合、その部分は会社の経費として認められません。
同業種・同規模の会社と比較して明らかに高額な場合は、税務調査で指摘を受ける可能性があります。
役員報酬は自由に決められるわけではなく、法人税法で定められた期限やルールに従う必要があります。
「期首3ヶ月以内」の決定ルールを中心に、具体的な決め方と手続きを解説します。
役員報酬(定期同額給与)の決定・変更は、事業年度開始日から3ヶ月以内に行う必要があります。
この期限を過ぎて変更した場合、変更分は会社の経費として認められません。
このルールは法人税法施行令第69条に規定されており、役員報酬の不当な利益操作を防ぐ目的があります。
期限を1日でも過ぎると、増額分・減額分の一部が損金算入できなくなるため、スケジュール管理が重要です。
役員報酬は以下の4ステップで決定します。
STEP1:会社の利益を予測する
今期の売上・経費を見積もり、利益予測を立てます。役員報酬は利益から支払うため、正確な予測が重要です。
STEP2:税金・社会保険料をシミュレーションする
役員報酬の金額によって、法人税・所得税・社会保険料の負担が変わります。複数のパターンで試算し、最適な金額を検討します。
STEP3:株主総会で決議する
役員報酬の総額を株主総会で決議します。各役員への配分は取締役会(または代表取締役)に一任することが一般的です。
STEP4:議事録を作成・保管する
株主総会議事録を作成し、本店に10年間、支店に5年間保管します。
議事録は税務調査で確認されることがあるので注意が必要です。
特にSTEP2の税金・社会保険料のシミュレーションが重要です。
役員報酬を高くすると所得税・社会保険料が増え、低くすると法人税が増えます。
会社と個人のトータルで最も負担が少なくなる金額を見つけることがポイントです。
一人社長の株式会社や合同会社でも、役員報酬の決定手続きは必要です。
会社形態によって手続きが異なります。
| 会社形態 | 決定方法 |
|---|---|
| 一人社長の株式会社 | 自分一人で株主総会を開催し、議事録を作成。出席者は自分一人でも有効 |
| 合同会社 | 定款に定めるか、社員の過半数の同意で決定(会社法第593条第4項)。同意書を作成・保管 |
合同会社には厳密な意味での「役員」は存在せず、出資者である「社員」が業務を執行し報酬を受け取ります。
業務執行社員の報酬を決める場合は、定款に別段の定めがない限り、社員の過半数の同意が必要です(会社法第593条第4項)。
一人社長の場合も、形式的に株主総会を開催して議事録を残すことが重要です。
議事録がないと、税務調査で役員報酬の決定過程を説明できず、損金算入を否認されるリスクがあります。
役員報酬を受け取ると、所得税・住民税・社会保険料が差し引かれます。
金額によって税金・社会保険料の負担が大きく変わるため、手取り額を把握しておくことが重要です。
役員報酬は「給与所得」として課税され、所得税(5〜45%の累進課税)と住民税(約10%)がかかります。
| 課税所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
課税所得は、役員報酬から「給与所得控除」を差し引いた金額です。
給与所得控除は最低55万円から最大195万円まで自動的に適用されるため、役員報酬を設定すると一定の節税効果があります。
なお、基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を合わせると年収103万円以下は所得税が非課税になります(2024年度までの基準)。
2025年度税制改正により給与所得控除が最低75万円に引き上げられたため、「123万円の壁」と呼ばれる新たな基準も登場しています。住民税は、年収100万円前後から課税されます。
役員報酬には健康保険料と厚生年金保険料がかかります。
会社と本人で折半(労使折半)して負担します。
社会保険料は「標準報酬月額」をもとに計算されます。
標準報酬月額には上限があり、健康保険は139万円(50等級)、厚生年金は65万円(32等級)が上限です。
役員報酬が月額65万円を超えると、厚生年金保険料はそれ以上増えません。
ただし、年金受給額も上限があるため、将来の年金が大きく増えるわけではない点に注意が必要です。
役員報酬の金額別に、税金・社会保険料を差し引いた手取り額の目安をまとめました(東京都・40歳未満・扶養なしの場合)。
| 役員報酬(月額) | 社会保険料 | 所得税・住民税 | 手取り(月額) | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|
| 30万円 | 約4.5万円 | 約1.5万円 | 約24万円 | 約80% |
| 50万円 | 約7.4万円 | 約4.2万円 | 約38万円 | 約76% |
| 70万円 | 約10万円 | 約7.5万円 | 約52万円 | 約75% |
| 100万円 | 約14万円 | 約14万円 | 約72万円 | 約72% |
| 150万円 | 約17万円 | 約28万円 | 約105万円 | 約70% |
| 200万円 | 約17万円 | 約45万円 | 約138万円 | 約69% |
※実際の金額は扶養人数や居住地、年齢により異なります。
役員報酬が高くなるほど、手取り率は下がっていきます。
月額30万円では約80%が手取りになりますが、月額200万円では約69%です。
手取りを最大化するだけでなく、会社に残す利益とのバランスを考えましょう。
「役員報酬はいくらに設定すれば最もお得なのか」は、多くの経営者が悩むポイントです。
法人税と所得税のバランスを考え、会社と個人のトータルで最も負担が少なくなる金額を見つけましょう。
会社の利益が800万円以下なら役員報酬を高めに、800万円超なら法人に利益を残す方が有利になりやすい傾向があります。法人税の実効税率と所得税の累進税率の差を比較し、法人・個人どちらに利益を残すと全体の税負担が軽くなるかを判断しましょう。
| 税の種類 | 所得金額帯 | 税率 |
|---|---|---|
| 法人税(実効税率) | 所得800万円以下 | 約23% |
| 所得800万円超 | 約34% | |
| 所得税(累進) | 〜195万円 | 5% |
| 〜330万円 | 10% | |
| 〜695万円 | 20% | |
| 〜900万円 | 23% | |
| 〜1,800万円 | 33% | |
| 〜4,000万円 | 40% | |
| 4,000万円超 | 45% |
※所得税には別途住民税10%、社会保険料約15%(会社と個人で折半)が加算されます。
ただし、役員報酬には給与所得控除(最低55万円〜最大195万円)が適用されるため、税率のみでは最適金額を判断できません。
最適な金額は会社の利益状況や経営者の生活費によって異なるため、税理士へのシミュレーション依頼が確実です。
役員報酬の設定には、高いか低いかでメリットとデメリットがあります。
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 高く設定 | ・法人税が減る ・給与所得控除が使える ・個人の手取りが増える | ・所得税・住民税が増える ・社会保険料が増える ・「不相当に高額」と判断されるリスク |
| 低く設定 (0円含む) | ・所得税・社会保険料が減る ・会社に内部留保できる | ・法人税が増える ・社会保険に加入できない(0円の場合) ・銀行融資の審査で不利 |
特に注意が必要なのは役員報酬を0円にした場合です。
社会保険に加入できないため、国民健康保険・国民年金に切り替える必要があります。
また、将来の厚生年金受給額が減り、銀行からの融資審査で不利になるかもしれません。
「不相当に高額」と税務署に判断された場合、その部分は損金不算入となります。
同業他社と比較して、適正な水準に設定することも重要です。
節税を意識した役員報酬の設定には、以下の3つのポイントがあります。
| ポイント | 具体的な効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| ①給与所得控除の活用 | 最低55万円〜最大195万円が控除される | 個人事業主にはない法人経営者のメリット |
| ②厚生年金保険料の上限 | 月額65万円(年収780万円)で上限到達 | 上限超では保険料は増えないが年金受給額も頭打ち |
| ③退職金の活用 | 法人に残した利益を退職金で受取ると「退職所得控除」で大幅節税 | 法人に利益を残すほど退職金原資を確保できる |
役員報酬の金額水準ごとに税負担の傾向が異なるため、以下の比較から自社の方向性を掴んでおきましょう。
| 役員報酬の水準 | 法人側 | 個人側 | 社会保険料 | 総合傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 低額(0〜少額) | 利益が残り法人税高め | 所得税は低い | 低い(0円なら未加入) | 内部留保重視。個人手取り少 |
| 中程度(給与所得控除の恩恵が大きい帯) | バランス | 給与所得控除の効果を活かしやすい | 中 | 法人税・所得税の税率差を活かしやすい |
| 高額(月額65万円超〜) | 法人税は低め | 所得税が累進で重くなる | 月額65万円で上限到達 | 個人手取り大だが税負担重。退職金戦略との併用が鍵 |
※上記はあくまで傾向の目安です。実際の最適金額は会社の利益規模・役員構成・家族構成などで変わります。
短期的な節税だけでなく、退職金まで含めた長期的な視点で役員報酬を設計することで、トータルの税負担を最小化できます。
役員報酬は一度決めたら終わりではなく、会社の業績に応じて変更が必要になることもあります。
ただし、変更できるタイミングには制限があるため、ルールを理解しておくことが重要です。
役員報酬(定期同額給与)の変更は、原則として事業年度開始から3ヶ月以内に限られます。
3ヶ月を過ぎて役員報酬を変更した場合、変更前と変更後で金額が異なる部分は損金算入できません。
例えば、月額50万円から70万円に増額した場合、差額の20万円×残りの月数が損金不算入となります。
変更自体は期中でも可能ですが、税務上のペナルティがあるため、原則として期首3ヶ月以内に決定することが重要です。
役員報酬を変更する際は、株主総会で決議し、議事録を作成・保管します。
税務署への届出は、事前確定届出給与を除き原則不要。
ただし、社会保険の標準報酬月額が2等級以上変わる場合は、年金事務所への「月額変更届」の提出が必要です。
議事録は税務調査で確認されることがあるため、必ず作成・保管しておきましょう。
「臨時改定事由」に該当する場合は、期中でも役員報酬の変更が認められます。増額と減額で適用される事由が異なるため、以下で整理します。
| 変更の種類 | 対象となる事由 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 増額が可能 | 職制上の地位変更 | 取締役→代表取締役への昇格など | 議事録で変更理由を明記する必要あり |
| 増額が可能 | 職務内容の重大な変更 | 海外支店の統括など新たな重責業務の発生 | 「重大な」変更であることの立証が必要 |
| 増額が可能 | 新任役員の報酬決定 | 期中に就任した役員への初回支給 | 就任後から毎月同額を支給すれば定期同額給与として認められる |
| 減額が可能 | 業績の著しい悪化 | 主要取引先の倒産、売上の激減、資金繰り悪化など | 単なる利益減少では不可。客観的に証明できる事由が必要 |
いずれの場合も、株主総会での決議と議事録作成は必須です。客観的な証明資料(経営指標の悪化データ・職務変更の稟議書など)を合わせて保管しておくと、税務調査時に安心です。
役員報酬を支払う際は、源泉所得税を天引きして税務署に納付する必要があります。
従業員給与と同様に、年末調整の対象にもなります。
役員報酬の源泉徴収税額は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を使って計算します。
扶養控除等申告書を提出していれば「甲欄」、未提出なら「乙欄」を適用します。
甲欄適用の場合、月額88,000円未満なら源泉徴収税額は0円です。
乙欄適用の場合は、少額でも「支給額×3.063%」の税金が発生し、税負担が重くなります。
役員であっても、必ず扶養控除等申告書を提出しましょう。
役員報酬も従業員給与と同様に年末調整の対象となります。
一人社長の場合、年末調整は自分で行う(または税理士に依頼する)ことになります。12月に行う年末調整を忘れずに実施しましょう。
役員報酬のみを1ヶ所から受け取っており、年収2,000万円以下であれば、確定申告は原則不要です(年末調整で完結します)。
ただし、以下のケースでは確定申告が必要です。
年収2,000万円を超える役員は年末調整の対象外となるため、必ず確定申告が必要です。
また、複数の会社から役員報酬を受けている場合も、主たる勤務先以外の報酬は確定申告で合算します。
A.使用人兼務役員であれば、役員報酬と使用人給与の両方を受け取れます。
ただし、代表取締役・専務取締役・常務取締役などは使用人兼務役員になれないため、役員報酬のみとなります。
A.法律上の最低額はありません。0円でも可能です。
ただし、0円の場合は社会保険に加入できないなどのデメリットがあるため、最低でも月額10万円程度は設定することをおすすめします。
A.法律上は必須ではありませんが、設定することをおすすめします。
役員報酬を設定すると給与所得控除が使えるため、個人事業主と比べて節税効果があります。
また、社会保険に加入でき、銀行融資の審査でも有利になります。
A.役員は労働者ではないため、残業代(割増賃金)の支払い義務はありません。
役員は会社と委任契約を結んでおり、労働基準法の適用外となります。
どれだけ働いても、役員報酬以外の追加報酬を請求することはできません。
ただし、使用人兼務役員の「使用人」としての部分は労働者扱いとなり、残業代の支払対象となります。
A.役員報酬の約15%が社会保険料(健康保険+厚生年金)として本人負担になります(会社負担分を含めると約30%)。
たとえば月額50万円の場合、本人負担は約7.4万円、会社負担も同額の約7.4万円で、合計約14.8万円が社会保険料となります。
なお、厚生年金保険料は標準報酬月額65万円(月額63.5万円以上)で頭打ちになります。ただし健康保険料は引き続き上限(標準報酬月額139万円)まで増えるため、報酬が高額になるほど厚生年金部分の負担割合は下がる傾向があります。
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