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更新日:2026年03月12日
生命保険の満期金や懸賞金、競馬の払戻金などを受け取ったとき、「これは確定申告が必要なのか」と悩む人は少なくありません。
これらの収入は「一時所得」に該当する可能性があり、金額や状況によっては確定申告が必要です。ただし、50万円の特別控除があるため、すべての一時所得に税金がかかるわけではありません。
本記事では、2026年3月時点の最新情報をもとに、一時所得の定義や該当する収入の具体例、確定申告が必要・不要になる金額基準、計算方法、申告書の書き方までわかりやすく解説します。令和7年度税制改正による基礎控除の見直しも反映しています。
一時所得の確定申告について不安がある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
一時所得をわかりやすくいうと、「臨時的・偶発的に得た収入」のことです。たとえば、生命保険の満期金を受け取った場合や、懸賞に当選して賞金を受け取った場合などが一時所得に該当します。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
引用:No.1490 一時所得
一時所得には最高50万円の特別控除が適用されるため、利益が50万円以下であれば課税対象にはなりません。また、課税される場合でも一時所得の金額の2分の1だけが他の所得と合算されるため、税負担は比較的軽くなります。
一時所得に該当する主な収入は以下の通りです。
| 収入の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 生命保険の満期保険金・解約返戻金 | 契約者(保険料負担者)と受取人が同一の場合 |
| 損害保険の満期返戻金 | 積立型損害保険の満期返戻金 |
| 懸賞金・賞金 | クイズの賞金、福引の当選金品 |
| 競馬・競輪の払戻金 | 馬券や車券の払戻金(原則) |
| ふるさと納税の返礼品 | 寄附に対する返礼品(時価評価) |
| 法人からの贈与金品 | 会社からの記念品や謝礼金 |
| 立退き料 | 借家人が受け取る立退き料 |
| 補助金・助成金 | 個人が受け取るリフォーム補助金など |
| 企業から付与されたポイント | キャンペーンポイント、アンケート報酬ポイント |
| 遺失物拾得者の報労金 | 遺失物を届けた際の報労金 |
これらの収入はいずれも「営利目的の継続的行為から生じたものではない一時的な所得」という共通点があります。
一方で、以下のような収入は一時所得には該当しません。
| 収入の種類 | 正しい所得区分 | 理由 |
|---|---|---|
| 個人年金(年金形式で受取) | 雑所得 | 継続的に受け取るため |
| 副業収入・原稿料 | 雑所得(または事業所得) | 労務の対価であるため |
| 給与・賞与 | 給与所得 | 労務の対価であるため |
| 株式の譲渡益 | 譲渡所得 | 資産の譲渡対価であるため |
| 一時払養老保険の差益(5年以内) | 源泉分離課税(20.315%) | 租税特別措置法による特例 |
| 保険料負担者と受取人が異なる保険金 | 贈与税の対象 | 贈与とみなされるため |
特に注意が必要なのは、生命保険の満期金でも契約者(保険料負担者)と受取人が異なる場合は贈与税の対象になる点です。また、保険期間5年以内の一時払養老保険の差益は、一時所得ではなく源泉分離課税(税率20.315%)として扱われます。
一時所得を得た場合でも、すべてのケースで確定申告が必要になるわけではありません。申告が必要かどうかは、一時所得の金額と申告者の属性(会社員、年金受給者、主婦など)によって判断基準が異なります。
ここでは、属性別の判定基準をわかりやすく整理します。
一時所得には最高50万円の特別控除が設けられています。具体的には、一時所得の計算式「総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最高50万円)」の結果がゼロ以下であれば、課税対象となる一時所得は発生しません。
たとえば、懸賞金として40万円を受け取った場合、40万円−0円 (支出なし)−40万円(特別控除)=0円となり、一時所得に対する税金は発生しません。収入から経費を差し引いた利益が50万円以下であれば、特別控除の範囲内で収まるため課税されないということです。
ただし、課税対象の一時所得がゼロであっても、他の理由(医療費控除や住宅ローン控除など)で確定申告を行う場合には、一時所得も記載する必要があります。
会社員などの給与所得者には「20万円ルール」と呼ばれる確定申告不要の特例があります。所得税法第121条により、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下であれば確定申告は不要です。
給与の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く。)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。
引用:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
一時所得は課税対象が金額の2分の1になるため、一時所得の金額(収入−経費−50万円)が40万円以下であれば、課税対象額は40万円×1/2=20万円以下となり、確定申告が不要になります。
経費がゼロの場合で逆算すると、「収入金額−50万円(特別控除)≦40万円」なので、収入金額が90万円以下であれば確定申告は不要ということになります。
一時所得の収入90万円−経費0円−特別控除50万円=一時所得の金額40万円
課税対象額:40万円×1/2=20万円 → 20万円以下なので確定申告不要
年金受給者には「確定申告不要制度」があります。公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ公的年金等以外の所得の合計が20万円以下の場合は確定申告が不要です。一時所得の場合、給与所得者と同様に収入ベースで90万円以下が目安になります。
専業主婦や無職で一時所得以外に収入がない場合は、基礎控除の範囲内であれば確定申告は不要です。基礎控除額は合計所得金額に応じて段階的に設定されています。令和7年度税制改正により、合計所得金額132万円以下の場合は基礎控除が95万円に変更されたため、一時所得のみの場合は収入ベースで約240万円以下であれば所得税は発生しません(経費ゼロの場合:(240万円−50万円)×1/2=95万円=基礎控除額)。
また、配偶者控除や扶養控除の適用要件も令和7年分から変更されています。同一生計配偶者および扶養親族の合計所得金額の要件が48万円から58万円に引き上げられました。一時所得のみの場合は収入ベースで約166万円を超えると合計所得金額が58万円を超え、扶養から外れる可能性があります。
以下は属性別の確定申告の判定早見表です。
| 属性 | 確定申告が不要になる条件 | 収入ベースの目安(経費ゼロの場合) |
|---|---|---|
| 給与所得者(サラリーマン) | 給与以外の所得合計が20万円以下 | 一時所得の収入90万円以下 |
| 年金受給者(年金400万円以下) | 年金以外の所得合計が20万円以下 | 一時所得の収入90万円以下 |
| 専業主婦・無職(一時所得のみ) | 合計所得金額が基礎控除95万円以下(所得132万円以下の場合) | 一時所得の収入約240万円以下 |
| 扶養から外れる基準 | 合計所得金額が58万円超(令和7年分〜) | 一時所得の収入約166万円超 |
所得税の確定申告が不要であっても、住民税の申告が必要になるケースがある点には注意が必要です。
所得税における「20万円ルール」は国税の特例であり、住民税(地方税)には適用されません。そのため、給与所得者が一時所得の収入90万円以下で所得税の確定申告が不要になったとしても、一時所得が1円でもあれば住民税の申告は原則として必要です。
確定申告を行えば、そのデータは税務署から自治体に自動的に連携されるため、住民税の申告を別途行う必要はありません。しかし、確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村役場に住民税の申告書を提出する必要があります。
確定申告が必要であるにもかかわらず申告しなかった場合、以下のペナルティが課される可能性があります。
無申告加算税:自主的に期限後申告した場合は5%、税務調査後は15〜30%(納税額50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%)
延滞税:納期限の翌日から2ヵ月以内は年2.8%、2ヵ月を超えると年9.1%(令和8年分の割合)
生命保険の満期金や解約返戻金について、保険会社は1回の支払金額が100万円を超える場合など一定の基準に該当する支払いに関して、法定調書(支払調書)を税務署に提出する義務があるため、無申告が発覚する可能性は高いです。
もし申告を忘れてしまった場合でも、期限後申告は可能です。気づいた時点で早めに申告すれば、無申告加算税は5%に軽減されます。なお、確定申告について税務署が追徴できる期間は法定申告期限から原則5年(悪質な場合は7年)です。
一時所得の税額を正しく計算するためには、計算式の仕組みと所得税率を理解しておく必要があります。ここでは、生命保険の満期金を中心に具体的な計算例をまじえて解説します。
一時所得の計算式は以下の通りです。
一時所得の金額 = 総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)
課税対象額 = 一時所得の金額 × 1/2
「収入を得るために支出した金額」とは、その収入を得るために直接かかった経費のことです。生命保険の満期金の場合は、払い込んだ保険料の総額がこれに該当します。
具体的な計算例を見てみましょう。
満期保険金:500万円、払込保険料総額:350万円の場合
一時所得の金額 = 500万円 − 350万円 − 50万円 = 100万円
課税対象額 = 100万円 × 1/2 = 50万円
満期学資金:200万円、払込保険料総額:180万円の場合
一時所得の金額 = 200万円 − 180万円 − 20万円(特別控除※) = 0円
課税対象額 = 0円(課税なし)
利益が50万円以下のため、特別控除の範囲内で収まり税金は発生しません。
※利益が50万円以下のため、特別控除は利益の全額20万円が適用される
満期保険金:800万円、払込保険料総額:600万円の場合
一時所得の金額 = 800万円 − 600万円 − 50万円 = 150万円
課税対象額 = 150万円 × 1/2 = 75万円
なお、複数の保険契約で一時所得が発生する場合は合算して計算します。たとえば、保険Aで30万円の利益、保険Bで10万円の赤字※がある場合、一時所得の金額は30万円−10万円−20万円(特別控除)=0円となります。このように一時所得内での内部通算は可能です。
※解約返戻金が払込保険料を下回るケースなど
一時所得は他の所得と合算して総合課税されます。以下は所得税の速算表です。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万円〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円〜 | 45% | 479万6,000円 |
他の所得から所得控除を差し引いた課税所得が500万円の人が、一時所得150万円(課税対象額75万円)を得た場合を考えてみましょう。
課税所得500万円 + 一時所得の課税対象額75万円 = 課税所得575万円
所得税額 = 575万円 × 20% − 42万7,500円 = 72万2,500円
復興特別所得税 = 72万2,500円 × 2.1% = 約1万5,173円
合計:約73万7,673円
一時所得がなかった場合の所得税額 = 500万円 × 20% − 42万7,500円 = 57万2,500円
復興特別所得税 = 57万2,500円 × 2.1% = 約1万2,023円
合計:約58万4,523円
一時所得による追加の税額 = 約73万7,673円 − 約58万4,523円 = 約15万3,150円
このように、一時所得は1/2課税が適用されるため、実際の追加税額は比較的抑えられます。ただし、元の給与所得が高い場合は適用税率も高くなるため、追加の税負担が大きくなる点には注意が必要です。
一時所得と雑所得は混同されやすい所得区分です。どちらに分類されるかによって税額が大きく変わることもあるため、正しく区別することが大切です。
一時所得と雑所得の主な違いは以下の通りです。
| 比較項目 | 一時所得 | 雑所得 |
|---|---|---|
| 定義 | 営利目的でない一時的な所得 | 他の9種類に該当しない所得 |
| 特別控除 | 最高50万円あり | なし |
| 課税方法 | 金額の1/2を総合課税 | 全額を総合課税 |
| 損益通算 | 他の所得とは不可(一時所得内は可能) | 他の所得とは不可 |
| 具体例 | 懸賞金、保険の満期金、競馬の払戻金 | 個人年金(年金形式)、副業収入、暗号資産の利益 |
一時所得は50万円の特別控除と1/2課税が適用されるため、同じ金額であれば雑所得よりも税負担が軽くなります。たとえば、100万円の利益があった場合、一時所得なら課税対象は(100万円−50万円)×1/2=25万円ですが、雑所得なら100万円全額が課税対象です。
所得区分の判断に迷いやすい代表的なケースを整理します。
競馬の払戻金については、最高裁平成27年の判決で、自動購入ソフトを用いた大量・継続的な馬券購入による払戻金が雑所得と認定されたケースがあります。ただし、一般的な競馬の楽しみ方であれば一時所得として扱われます。
所得区分の判断に迷った場合は、最寄りの税務署や税理士に相談することをおすすめします。
一時所得の確定申告は、記入する欄が複数あるため難しく感じる人もいますが、手順を追えば問題なく作成できます。ここでは、紙の申告書での記入手順とe-Taxでの入力方法、必要な添付書類を解説します。
一時所得の確定申告は、以下の5つのステップで記入します。
記入のポイントとして、第二表の明細を先に記入し、第一表に集計値を転記するという流れを覚えておくとスムーズに作成できます。
e-Tax(確定申告書等作成コーナー)を利用すれば、特別控除の適用や1/2の課税対象額の計算は自動で行われるため、手計算の手間がかかりません。
入力手順は、確定申告書等作成コーナーにアクセスし、「所得の入力」画面で「一時所得」を選択します。表示された入力フォームに、収入金額と収入を得るために支出した金額(必要経費)を入力するだけで、一時所得の金額と課税対象額が自動計算されます。
マイナンバーカードがあればスマートフォンからも申告が可能です。パソコンの場合はICカードリーダーを使用するか、スマートフォンをカードリーダー代わりにして利用できます。
一時所得の確定申告にあたって、主に必要となる書類は以下の通りです。
生命保険の満期金の場合、保険会社から届く「支払通知書」や「計算明細書」に、受取金額と払込保険料の総額が記載されています。この書類をもとに一時所得の金額を計算します。
e-Taxで申告する場合は一部の添付書類の提出を省略できますが、提出を省略した書類は5年間の保存義務がありますので、手元に保管しておきましょう。
ふるさと納税の返礼品は一時所得に該当します。ただし、返礼品の時価は寄附金額の3割以下が総務省の基準であるため、他の一時所得と合わせても特別控除50万円以内に収まるケースが大半です。寄附額が約167万円以下であれば、返礼品の時価は約50万円以下となり課税されません。
ただし、生命保険の満期金など他の一時所得がある場合は合算されるため、合計額が50万円を超えていないか確認しましょう。
確定申告をすると住民税額が変わるため、特別徴収(給与天引き)で会社に一時所得の存在を推測される可能性があります。これを避けたい場合は、確定申告書の第二表「住民税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を選択しましょう。
普通徴収を選択すると、給与以外の所得に係る住民税は自宅に届く納付書で自分で納付することになり、会社に知られるリスクを下げられます。
一時所得がマイナスになった場合、給与所得や事業所得など他の所得と損益通算することはできません。所得税法で損益通算が認められているのは、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4種類のみです。
ただし、一時所得同士であれば内部通算が可能です。たとえば、保険Aで30万円の利益が出て保険Bで10万円の赤字が出た場合、合算して一時所得の金額を計算できます。
企業から無償で付与されたポイント(キャンペーンポイント、アンケート報酬ポイント等)は一時所得に該当する場合があります。ただし、商品購入に伴う通常のポイント付与(値引きと同視できるもの)は原則として課税対象外です。
ポイントを使用(交換)した時点で所得が発生したとみなされます。他の一時所得と合わせて特別控除50万円以内であれば課税されません。
一時所得から源泉徴収されている場合や、医療費控除・ふるさと納税の寄附金控除などを適用することで、税金の還付を受けられるケースがあります。
確定申告が「不要」な条件を満たす場合でも、還付を受けるためにあえて確定申告を行うことは可能です。還付申告の期限は申告対象年の翌年1月1日から5年間です。
国や自治体から個人が受け取る補助金・助成金(住宅リフォーム補助金、窓リノベ補助金など)は、原則として一時所得に該当します。ただし、事業所得者が事業に関連して受け取る補助金は事業所得として扱われます。
個人が生活に関連して受け取る補助金であれば一時所得となりますが、他の一時所得と合わせて50万円の特別控除内に収まれば課税されません。
一時所得とは、生命保険の満期金や懸賞金、競馬の払戻金など、臨時的・偶発的に得た収入を指す所得区分です。最高50万円の特別控除と1/2課税の仕組みにより、比較的税負担が軽くなるのが特徴です。
確定申告が必要かどうかは、一時所得の金額とご自身の属性によって異なります。給与所得者であれば一時所得の収入が90万円以下(経費ゼロの場合)なら確定申告は不要です。専業主婦や無職で一時所得のみの場合は、収入ベースで約240万円以下であれば所得税は発生しません。
ただし、所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合がある点には注意しましょう。また、申告が必要であるにもかかわらず申告しなかった場合は、無申告加算税や延滞税のペナルティが課される可能性があります。
一時所得の確定申告について判断に迷う場合は、最寄りの税務署に相談するか、税理士に相談することをおすすめします。
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