コラム

定額減税について

樫福 浩太 2024年11月15日

 今年も11月に入り、毎年恒例の年末調整の時期に入りました。税務業務はこの時期から確定申告が終わる3月上旬まで繁忙期になります。 

 令和6年の税制改正では、急激な物価上昇による家計負担を軽減するため、所得税と個人住民税について、納税者及び同一生計配偶者又は扶養家族一人につき、所得税額から3万円、個人住民税所得割額から1万円の定額減税が実施されました。

 個人住民税は、令和6年分の個人住民税を納税者及び同一生計配偶者又は扶養家族1人につき、1万円差し引いた額を11等分した額を7月から毎月徴収されています。

 所得税は、納税者及び同一生計配偶者又は扶養家族1人につき、所得税額から3万円を、6月以降の最初の給与の源泉所得税から減税額を控除し、控除しきれない金額は次の給与の源泉所得税から控除し、年内まで減税額を上限に控除し続けます(月次減税)。

 年末調整で所得税の定額減税額を確定し、確定減税額と月次減税の控除額を比較し、不足している場合は支給、超過している場合は徴収します(年調減税)。

 弊社HOPでは、年末調整資料の給与所得者の扶養控除申告書、基礎控除申告書と保険料控除申告書の他に、年調減税のために所得税の定額減税をわかりやすく確定するための資料を作成し、お客様に記入のご協力をお願い致しております。令和6年12月31時点での居住者であること、かつ、令和6年の給与収入が103万円以下であることを、減税対象となる方の人数を確認し、定額減税額を確定します。

 私の場合、5月時点の試算通り10月支給分で所得税の定額減税3万円全額分を控除され、個人住民税と合わせて、4万円減税が月次減税で完了しました。年調減税では、月次減税開始時の同一生計配偶者・扶養家族の人数と令和6年12月31日時点で変更予定がないため、月次減税控除分3万円と所得税の確定減税額と過不足がなく、円滑に年末調整の処理が済むはずです。

 私は4万円の定額減税を受け、賃金上昇が物価高に追い付いていない私の負担の緩和された実感がなく、また4万円で特別の何かに消費したこともなく、デフレ脱却に貢献した実感もありません。唯々、毎月数千円の減税額で、食費の足しにしていたと今になって思われます。

 皆さまは、減税額をどのように消費したでしょうか?1人4万円で何を消費できるのでしょうか?

 将来の税制に反映させるために定額減税の効果を、税負担の軽減、消費の拡大と事務コストの観点、から総合的に検証する必要があります。

 

 

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