日本では遺言書を作成する方の割合は、10%にも満たないと言われています。
欧米を見渡すと、アメリカでは50%超、イギリスでは80%などと、高い作成率となる調査結果が出ているようです。
この差は、気質・文化や制度といった差もあるかもしれませんが、一つは日本人が『遺言書』に良いイメージを持てていないなどということもあるかもしれません。
まず、死ぬための「遺書」ではありません。
作成を促すと、「死んでほしいのか!」と憤慨されてしまうケースもあるようですが、「遺書」と『遺言書』を混同してしまっているのではないでしょうか?
『遺言書』は家族や子孫の将来、ご自身の今後の平穏のために『言葉を遺す書類』であり、その作成の前段としては、エンディングノートなどの形式で人生を振り返ってみてもよいかもしれません。
また、「エンディング」という単語が引っかかる方には、「自分史」を作ってみませんか?というアプローチをしてもよいかもしれませんね。
さて、アメリカでは50%超の作成率を誇る『遺言書』ですが、相続手続きの煩雑さを回避したい、という制度設計を鑑みての作成の動機付けになっている可能性もあります。
では、日本はどうでしょうか?
日本の制度上、司法(裁判所の関与)を相続手続きの上で考える必要は全くないのでしょうか?
残念ながら争いになってしまった場合は、最終的に裁判所での調停や審判となるでしょうが、円満なご相続でも裁判所の関与が必須となるケースがあります。
遺産分割協議の場において、
・未成年者がいる場合
・認知症を患った高齢者がいる場合
・精神疾患などで判断能力がない相続人がいる場合
には、本人に代わる「特別代理人」や「法定後見人」の申立が必要となります。
申立の受付は家庭裁判所となります。
遺言書をはじめとする各種相続対策は、元気なうちににしかすることが出来ません。健康に不安を覚える前に対策を行いましょう。
また、養子縁組をする場合(とりわけ未成年者を孫養子にするような場合)には、必ず遺言書も同時に作成をしておきましょう。