2年前に母の遺産分割協議の際に、自宅を弟と換価分割により取得することにしました。
私が相続した後に速やかに売却し、売却代金から諸経費を差し引いた残額の2分の1を弟に渡すことを遺産分割協議書に明記しました。
このたび、自宅が売却できました。私は、母亡き後もこの自宅に住んでおりましたが、私一人が住むには広く、維持が難しかったので、これを機に別に自宅を構えて、そちらに移り住むことにしました。
確定申告では、売主である私だけ手続きすればよろしいでしょうか。
- 相続診断・対策
- 2024年6月28日
換価分割と確定申告
<ご相談内容>
<現状分析と改善策>
●具体的な原因
換価分割とは、共有分割となることを避けるために、遺産を処分(換価)し、その代金の分配を前提として分割する方法です。そして、換価分割により財産を取得した者には全員、換価した遺産に係る譲渡所得について確定申告と納税の義務が生ずるため、ご相談者だけでなく、その弟様も同様の手続きを行う必要があります。
●解決策
ご自宅の相続にあたって負担した相続税がある場合には、これを譲渡所得税の計算上、考慮することができます。
また、ご相談者は、売却した不動産に住んでいらっしゃったので、譲渡所得の計算上、居住用財産を売却したことによる3000万円の特別控除の適用を受けることができますが、弟様は住んでいらっしゃらなかったので、特別控除の適用はありません。
お二方で譲渡所得の内容が必ずしも同じにならないことについても、ご注意ください。
●まとめ
換価分割に似た遺産分割の手法に代償分割という手法があります。代償分割とは、「長男は自宅を取得する代償として、次男に金●●円を支払う」といったように、他の相続人に対してあらかじめ決められた金額(代償金)を支払う方法です。換価分割と異なり、遺産分割の時点で代償金額を決める点で換価分割と異なり、対象の不動産を売却したとしても、代償金を受領した側は確定申告をする必要がないのも換価分割と異なる点です。
(文責:高橋 大祐)
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