不動産の引き渡し前に相続が起こった場合

ご相談内容

私の母は、高齢者施設に入居するためにX3年11月20日に自宅不動産の譲渡契約を締結しました。
引き渡しはX4年1月25日を予定していましたが、X3年12月25日に母が他界してしまいました。
買主と協議し、新たな引き渡し日をX4年3月31日となりました。
本件譲渡に伴う所得税の確定申告は、誰がいつまでに行ったらよいでしょうか?

現状分析と改善策

具体的な原因

不動産の譲渡が行われた場合の所得税の確定申告は、譲渡した日の翌年3月15日までに行うこととされています。
譲渡した日は、原則として、譲渡契約に基づいて買主に引き渡した日をいいますが、譲渡契約の締結日に譲渡があったものとして確定申告することもできます。
譲渡した日を契約締結日とした場合には、確定申告すべき母が亡くなっているため、手続きは確定申告ではなく相続人による準確定申告となり、申告期限も相続開始を知った日の翌日から4ヶ月を経過する日(X4年4月25日)となります。
譲渡した日を引き渡し日とした場合には、この不動産を相続した相続人が確定申告することになり、申告期限はX5年3月15日となります。

解決策

譲渡した日をどちらにするかによって、受けられる制度も変わってきます。
前者(契約締結日・準確定申告)の場合には、納付すべき所得税を被相続人の相続開始時における債務として、相続財産から控除することができ、相続税が減額となります。また、譲渡した年の翌年については、住民税はかかりません。
後者(引き渡し日・確定申告)とした場合には、譲渡不動産にかかる相続税の一部を、譲渡所得から控除することができ、所得税と住民税が減額となります。
本件譲渡においては、譲渡不動産が被相続人の自宅であり、譲渡した日を契約締結日とし、被相続人の譲渡とすることで、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除が受けられることもあって、前者の準確定申告により手続きをすることにしました。

まとめ

高齢者による不動産売買におけるリスクには、認知症により契約行為そのものが行えないケースのほか、契約締結から引き渡しまでの間に相続が発生するケースも少なくありません。どちらで手続きするかによって、かかる税金も大きく変わることがありますので、気になる場合には、HOPグループまでご相談下さい。

(文責:髙橋 大祐)

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