相続によって高額の相続税が課せられることになりましたが、相続税の申告期限までに遺産分割協議が整わない為、相続財産を納税の資金とすることが出来ません。
また、自分の資産から納税をすると、生活の維持が困難になる恐れがあります。
ご相談内容
現状分析と改善策
具体的な原因
相続人の中に行方不明者がおり、そもそも遺産分割協議を行う事が出来ない状態でした。
この為、行方不明の相続人に代わって相続財産を管理する「不在者財産管理人」を選定することとなりましたが、行方不明者の捜索に時間を割いたことから、不在者財産管理人が選定されるまでに相続税の申告期限が到来することは確実でした。
また、相続人は身体的に障害を抱えていて自活することが出来ず、現在持っている資産を納税に充ててしまうと、殆どの資産を失うことになり、生活の維持が困難になる恐れがありました。
解決策
「換価の猶予」の申請手続きを行う事にしました。
国税を一時に納付することにより事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがある場合の猶予制度として、「申請に基づく換価の猶予」があります。本制度は財産の換価処分を猶予する制度で、猶予されている間は延滞税も軽減されます。
猶予期間は最長1年ですが、やむを得ない理由があると認められる場合、既に猶予している期間と併せて最長2年まで猶予されます。
相続人には申告期限内に現在の資力で収められる範囲の金額を納税して頂き、税務署から相続税督促状が届いてから換価の猶予申請書を提出しました。
その後税務署とのやり取りを経て、約1ヶ月で換価の猶予の許可が無事に下りました。
まとめ
今回の事例では、「遺産分割協議が整えば納税は可能」という納税の意思と、相続人の状況が税務署に考慮されたものと考えられます。
相続税は現金一括納付が原則ですが、やむを得ない事情がある場合、このような猶予制度も存在します。まずはご相談ください。
(文責:山本 百合香)
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