公正証書遺言の撤回

ご相談内容

以前夫婦揃って作った公正証書遺言を書き直したい

現状分析と解決策

具体的な原因

ご相談者夫婦の遺言を確認したところ、お互いに「全ての財産を全て配偶者に」という内容の遺言を作成されていました。
相談者夫婦は90歳代と高齢であり、このままの遺言で一次相続・二次相続が起きた場合、一次相続である程度の財産を子に相続させた場合と比べると、相続税が3,000万円ほど多くなることが、弊社の試算によって判明しました。
相談者は大変驚かれており、「是非書き直したい」とのご依頼を頂きました。

解決策

相談者夫婦には子供が二人いたため、あまり不公平感が出ないような遺産の分け方になるよう、家族会議で分割内容を決めて頂きました。
最初に作成した遺言が公正証書遺言だったため、撤回と作り直しも公正証書遺言で行うことにしました。本来は最初作成した公証役場で撤回も行うのが望ましいのですが、公証役場の予約が2か月待ちだったことと、相談者夫婦が身体に難を抱えており公証役場に訪問するのは難しいと判断したため、出張作成に対応して頂ける公証人に公正証書遺言の作成を依頼しました(公証人に出張してもらう場合、手数料が1.5倍になるほか、日当や交通費などの追加料金が発生します)。

遺言は相談者の自宅で無事作成することが出来ました。
相続税の問題だけでなく、「誰にどの財産を残したいのか」という遺言の基本的な部分を改めて見直したうえで、家族全員が納得した遺産分割内容の遺言を作成することが出来、大変ホッとした様子でした。

まとめ

遺言の撤回を行う方法は、次の2つの方法があります。

・古い遺言を撤回する内容の遺言を新たに作成する
・遺言書を破棄する

古い遺言を新しい遺言で撤回する場合、新しく作成する遺言は、自筆証書でも公正証書でも秘密証書でもどれでも構いません。但し古い遺言が公正証書遺言の場合、原本が公証役場に保管されているため、新たに作成する遺言も公正証書にすることが望ましいです。

民法第1024条には「遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。」と定められており、自筆証書遺言や秘密証書遺言は破棄によって撤回することも可能です。但し公正証書遺言は前述の通り、原本が公証役場に保管されているため、破棄による撤回は出来ません。ご注意ください。

民法第1022条において、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することが出来る。」と定められている通り、遺言は一度作ったらそれっきり、という事はありません。
若いうちから遺言を作成し、年代に応じて現状に即した形で遺言のアップデートを行うという方法もあります。
但し撤回方法を間違えると、ご自身の希望を実現できなくなる恐れもあります。
作り直しも含めた遺言作成は、是非HOPにご相談ください。

(文責:山本 百合香)

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