定額減税について

令和6年度税制改正により、令和6年分の所得税と個人住民税について、納税者及び同一生計配偶者又は扶養家族一人につき、所得税額から3万円、個人住民税所得割額から1万円の定額減税が実施されます。
急激な物価上昇による家計負担を軽減するための令和6年のみの一時的な措置です。

運用は所得税と個人住民税について異なります。
所得税の場合は、6月以降の最初の給与の源泉所得税から減税額を控除し、控除しきれない金額は次の給与の源泉所得税から控除し、年内まで減税額を上限に控除し続けます(月次減税)。控除しきれない場合は年末調整で控除され(年調減税)、それでも控除しきれない場合は給付措置になります。
住民税の場合は、令和6年分の住民税から減税額を差し引いた額を11等分し、令和6年6月の徴収はなく、令和6年7月から令和7年5月まで毎月徴収され、控除しきれない場合は給付措置になります。

私の場合、同一生計配偶者・扶養家族がいないので所得税の減税額は3万円、住民税の減税額は1万円です。
所得税の場合、1カ月分の源泉所得税を6,000円とすると、6月の給与から10月の給与までの5か月間源泉所得税0円で、減税額の全額3万円を控除できます(月次減税)。
住民税の場合、仮に5万円(月額約4,100円)とすると1万円を差し引いた金額4万円を11等分した金額約3,600円が令和6年7月から令和7年5月まで毎月徴収されます。
結果は、定額減税4万円を立法者の意図した通り減税されます。私は何ら手続きをすることなく給与の手取りが、6月は10,100(所得税6,000+住民税4,100)円、7月から10月まで6,500(所得税6,000+住民税500)円、11月から翌年5月まで500(住民税)円、定額減税の効果で増えます。

コロナ給付金などの給付制度と違い、受給者が手続きしなくても利益を得ることができる点がメリットですが、デメリットは計算する作業が増えることです。所得税は月次減税で減税額を確定するための同一生計配偶者・扶養家族を確認する作業と毎月源泉所得税を控除する作業が増え、年次減税で年末調整時点での同一生計配偶者・扶養家族を確認し減税額を確定する作業が増えます。住民税は減税額を確認するための同一生計配偶者・扶養家族を確認する作業が増えます。
計算作業の負担以上に減税4万円の効果があると立法者は判断されたのだと考えますが、受給者の消費活動による経済効果で定額減税がうまくいったかどうかわかります。定額減税がうまくいかず、来年は急激な物価上昇による家計負担を軽減するため10万円の給付金を支給する措置が講じられることを予想します。

(文責:樫福 浩太)

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