独身の叔父が亡くなり、母が叔父の財産を相続しました。母が亡くなった時の相続税が心配です。
ご相談内容
現状分析・解決策
具体的な原因
母の法定相続人は、長女と二女です。二人とも結婚し実家を離れているので、母は一人暮らしです。そろそろ母の相続対策を考えようと思っていた矢先に、独身の叔父が亡くなり、母が叔父の財産を相続しました。
解決策
1.母の財産の棚卸を行う
母の財産は、叔父から相続したものも合わせて、一戸建ての住宅とマンション一室、現金が8,000万円でした。相続税の基礎控除額(※)をはるかに超えているので、相続税の申告と納付が必要になりそうです。
(※3,000万円+600万円×法定相続人の数)
2.相続税額の把握
相続税を試算したところ、税額を上回る現金をお持ちでしたので、資金で困ることはなさそうです。
3.相続対策
相続対策は次の4つが柱となり、重要度もこの順番になります。
①遺産分割対策
②認知症対策
③納税資金対策
④節税対策
まず、①の遺産分割対策ですが、法定相続人の仲がとても良好なので、遺産分割が難航する可能性は極めて低いでしょう。
次に、②の認知症対策ですが、母は足腰が弱くなり物忘れも出始めていました。そして、将来施設に入所する予定でいます。そうなると、実家は住む人がいなくなり空き家となってしまいます。入所のタイミングで売却も考えていたとしても、その時に母の意思能力が低下していたら(認知症が進んでいたら)不動産の売買契約はできません。実家は空き家のまま何もできなくなる可能性があります。そこで、母と子で「家族信託契約」を締結しました。家族信託契約とは、親(委託者)が信頼している子(受託者)に財産の管理や処分の権限を託すことを言います。家族信託契約内で不動産を信託すると、不動産の所有権は管理処分権と受益権に分かれ、管理処分権が受託者である子に移転します。このとき、委託者である親の受益権は信託目録内に登記され、親が受益権を有することが公示されます。不動産が賃貸不動産の場合には、不動産の管理は受託者が行い、家賃収入は受益者が享受することになります。不動産の権利関係がこの状態であれば、実家の売却が必要となった際に、子が契約当事者となって不動産の売買契約を締結することができ、実家の「空き家化」を防止することができます。売買代金は信託財産として引き続き子が管理することになります。
最後に、ご相談者から「相続の専門家に不安を相談し、具体的な解決方法の提案を受けられたことで、母の相続対策ができ満足しています。」とおっしゃって頂きました。
まとめ
相続対策は、今回の家族信託契約の他、遺言書の作成や資産の組み換えなど多岐にわたりお客様ごとに必要となる対策は異なります。いずれの対策も、親の「意思能力」が必要不可欠ですので、早目に行動するようにしましょう。
HOPグループでは、相続業務における豊富な実績とノウハウを活かして、相続対策から相続税申告まで、相続に関するお困りごとにワンストップでご対応させて頂いております。お気軽にご相談下さい。
(文責:川村 理香)
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