住宅ローン控除初年度において合計所得金額が3千万円を超えた場合

個人が住宅ローン等を利用してマイホームの取得等をした場合、一定の要件を満たすときは、その取得等に係る住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除することが出来ます。これを住宅ローン控除といい、税額控除のメリットが大きいため多くの方が利用されています。

住宅ローン控除を受ける最初の年は、必要事項を記載した確定申告書に、一定の提出書類等を添付して、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。今回は、住宅ローン控除を適用しようと思っていた初年度において、うっかり合計所得金額が3,000万円を超えてしまった場合について触れたいと思います。

(租税特別措置法第41条)
個人が、国内において、住宅の用に供する家屋で政令で定めるもの新築(省略)…をして、これらの家屋を(省略)…居住の用に供した場合において、その者が当該住宅の取得等に係る次に掲げる借入金又は債務の金額を有するときは、★2当該居住の用に供した日の属する年以後十年間(省略)…合計所得金額が三千万円以下である年については、その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除する。

(租税特別措置法27条)
前項の規定は、同項の個人が、★1同項の規定の適用を受ける最初の年分の確定申告書に、同項の規定により第一項の規定の適用による控除を受ける金額についてのその控除に関する記載があり、かつ、当該金額の計算に関する明細書、前項の家屋を特定事由が生ずる前において居住の用に供していたことを証する書類、当該家屋を再びその居住の用に供したことを証する書類、登記事項証明書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

★1の通り、すなわち、適用を受けようと思っていた初年度の合計所得金額が3千万円を超えてしまっている場合には、「そもそも適用を受けることができない」こととなりますので、添付書類は不要となります。しかし、その翌年の合計所得金額が3千万円以下となった場合には、その年から適用を受けることが出来ますので、そこで初めて添付書類が必要となります。この場合、★2の通り、控除期間の起算日はあくまでも居住の用に供した日の属する年からとなりますので、控除期間を1年間捨てることとなります。

※令和4年居住開始年以降からは合計所得金額が二千万円に引き下げられたり、控除期間が最大13年間に延長されたりしていますので、ご注意ください。

(文責:井手 賢一郎)

モバイルバージョンを終了