お客様の声

株式会社玉海力
代表取締役 河邉幸夫 氏

飲食店経営を健全にする「3つの見える化」に挑戦

From Ogawa

ご自身は謙遜されますが、経営に対してはとても勉強家で努力を惜しまない方です。会社としての着実な成長は、「関わるすべての人を幸せにしたい」という理念のもと、人材育成やシステム開発にも積極的に取り組んで来たことの成果といえるでしょう。

"どんぶり勘定"の経営でスタート~HOPと出会うまで

14歳で相撲部屋に入門。「玉海力」の四股名で、最高位幕内前頭八枚目まで進んだがケガに泣き、29歳で引退されます。

前の年に長男が生まれたばかりでした。子供のために角界にケジメをつけたのですが、次は、どうやって家族を養っていくかが課題です。140キロを超える巨体、しかも中学から相撲をしていたので学歴はない。これで一般企業に就職するのは難しいですよね。だったら起業するしかない。思いついたのがちゃんこ屋です。若手時代には相撲部屋でちゃんこ番をしていたし、巡業で全国の美味しいものを食べ歩いてきた。飲食店ならなんとかなると考え、まずは先輩のちゃんこ屋に修行に行きました。

3カ月間で飲食店運営のイロハを学びつくそうと決めた覚悟の修行。その後、開店資金を銀行から借り入れ、東京・広尾に「どすこい酒場・玉海力」をオープンしました。店舗の2階に住み、早朝の仕入から料理の仕込み、接客のすべてを家族で切り盛りする生活がスタートします。

開店からしばらくは連日満席の大盛況。『飲食店の経営なんて簡単なものだ』と思っていました。ところが、季節が変わり暖かくなると次第に客足が遠のきはじめ、夏には閑古鳥。あわてて、集客を兼ねて店頭で焼き鳥を焼いたり、かき氷を売ったり、いろいろやってなんとかしのぎました。

そうしてなんとか、売り上げを伸ばしていきました。とはいえ、経費を差し引くと手元に残るものは意外に少ない。しかも、3年ごとに税務調査が入り、その度に高額の追徴税を課される。独学で経理を勉強していても、店の運営が"どんぶり勘定"であることは否めない。税理士をつけていたのにもかかわらず、まともなアドバイスはなく、税務署の指導にも対応できない。税理士ってそういうものかとあきらめていました。しかし、どう考えてもおかしい。そこで、紹介を通じて税理士法人HOPを知り、契約を結ぶことにしたんです。

店に3度目の税務調査が入ったのは、HOPと契約した直後でした。
すぐにHOPの小川先生にお電話しました。
「どうしたらよいでしょう」
「大丈夫。任せてください」

小川先生は、確信に満ちた声で、何をすべきか的確にご指示くださいました。駆けつけた小川先生は、税務署と毅然と交渉し一歩も引かない。その姿を見て、すうっと気が楽になったことを覚えています。追徴税はゼロ。これがプロの税理士の仕事かと感激しました。その後は、HOPからのアドバイスを実践し、きちんと月次で決算を締めることにしました。その甲斐もあってか、その後3年ごとの税務調査が入ることはなくなりました。

関わる人たちを幸せにするための出店計画

家族経営でスタートし、やがて社員を雇い入れ、店が軌道に乗ってくる。その頃から河邉氏には、経営者としての視点が芽生えていったとおっしゃいます。

きっかけは、HOPのアドバイスに基づいて、会社の体質改善ができたことです。売り上げ自体は50%ほどの伸びですが、利益は約10倍。数字の見方、考え方がわかってくると、決算期に慌ててお金をかき集めることがなくなっただけでなく、先を見据えた戦略を立てることができるようになりました。

HOPから「このタイミングで先行投資をしませんか」という提案を受けた時、まず考えたのは、自分が1カ月ほど留守にした場合でもお店がきちんと運営できるにはどうしたらよいかということでした。社員にもきちんと休暇が取れる環境が必要だろう。さらに、成長した彼らのために新たな店舗を用意したい、すなわち多店舗展開も視野に入れるようになったのです。出店費用を算出し、売り上げシミュレーションを行うなど、明快な事業計画を立案し、資金の調達がスムーズにできるようにしました。HOPには私の思いを共有してもらいました。

「会社を大きくしたいと思ったわけではありません。私は、自分に関わるすべての人に幸せになって欲しいんです」

そんな私の思いが形になった一つの例が、2006年、中国青島に「SUMO&SUSHI DINING 玉海力」を出店したことかもしれません。店を任せたのは、長年、私の元で働いてきた二人の社員。一人は、突然本国に戻らざるをえなくなった中国人。もう一人は、店の仕事はきちんとやるものの、いまいち自分の殻を破ることができずにいた日本人の若手社員。オープンからしばらくは、私も青島に滞在して二人を支えました。3年後、青島店はFCとして経営的な独立を果たします。機会を与えて人の成長を促そうと私がチャレンジした一つの例です。
※現在は飲食に対する志が同じ中国人の仲間に経営権を譲渡

仕事を"見える化"することで健全経営に

河邉氏は現在、店舗運営に関わる数字を意識することを全社員に課しています。すべての社員が、数字が意味するところを理解するのは難しいかもしれない。だが、いずれ独立し、自分たちの人生を歩んで欲しいと河邉氏は願っています。「数字を意識しながら仕事をする」ことは、その時に絶対役立つはずです。

飲食店は全国に約64万店あり、その中の20万店が毎年入れ替わります。誰だって本気でオープンしているのに、現実は厳しい。「飲食店=ブラック」のイメージが付きまとう理由の一端はここにあるといえるでしょう。そのことによって、飲食店で働こうという若者が少なくなっている。この状況を覆し、飲食店経営のレベルを上げるために、私は3つの"見える化"を実践し、そのノウハウを公開しています。

1つ目は「レシピの見える化」。仕入れには経験者の目利きが必要です。しかし、料理自体は誰でも同じ味が出せるようにレシピをオープン化する。また、原価管理をきちんとやることも重要です。そう聞くと「原価を抑えて安価な素材を仕入れる」と捉えがちだが、それでは品質低下と顧客離れという負のスパイラルに陥ってしまう。大切なのは、1品ごとの原価を把握して適切に対応すること。たとえば、利益率が高くて人気のあるメニューはより積極的にアピールする一方で、利益率が低いけれど人気があるメニューは盛り付けを見直したり、思い切って値上げも検討する。

2つ目は「評価の見える化」。社員の仕事に対する評価基準を明文化し、2カ月に1度、自己申告制をもとに査定を行う。本人が申告した内容に社員の70%が賛同した場合は、昇給が認められる。評価結果は誰でも閲覧できるので、自分に足りないものは何なのか、どんな行動が評価されるのか、といった詳細を知り、改善に向けて努力することができるでしょう。

そして3つ目は「サービスの見える化」。私は、店のスタッフに安易な感動やスター性を求めてはいません。求められるのは、誰に対しても等しく、安心できるサービスを提供すること。そのために現在、お客様の属性や来店頻度や嗜好を一元化して共有するシステムを構築中です。定量的なお客様データだけでない。お客様はどんなお方なのか。いつ、どんな目的でおこしになり、何をご注文され、どんなご要望をいただいたのか。そうしたお客様とのコミュニケーションそのもの、お客様との温度感までも全社員が参照し、共有できるシステムです。

家族だけで細々と続けるなら『美味しいものを提供する』ことだけを考えればよいでしょう。けれど、これからの時代に生き残っていくためにはマーケティングが必要です。商売で培った知恵をシステム化し、お客様への提供価値を高めていく。そして、私がこれまで築いてきたノウハウや経営理念を社員一人ひとりに伝え、思いをひとつにする。こうした経営者としてのビジョンをパートナーとしてともに歩んでくれているのがHOPです。

飲食店の経営はますます厳しくなります。最近では、私のビジョンを社会に還元するために、セミナーやコンサルティングにも力を注いでいます。日本中の飲食店とともに成長していくこと。それが現在の私が描く未来図です。

詳細は、河邉幸夫氏著「20年増収増益を続ける店の秘密」(中央公論新社)をご覧ください。

http://seapower.jp/present/

ありがとうございました。
次回もお楽しみに。

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