遺言書を作成したいです。
相続人の中に、行方不明で音信不通な子供がいるのですが・・・
- 相続診断・対策
- 2024年10月25日
家族にメッセージを遺す重要性
<ご相談内容>
<現状分析と改善策>
●具体的な原因
遺言書作成のため、ご夫妻でご相談にいらっしゃいました。
家族関係は下記の通りです。
遺言者:ご夫妻
推定相続人:配偶者、長男、二男、三男
お二人ともそれぞれの財産を、二男に相続してほしいとのご希望をお持ちで、
それについては二男ご本人も承諾のうえで進めていらっしゃいました。
二男と三男はとても仲が良く、三男にもこの内容で遺言書を作成することを
事前にご報告されたうえでのご相談でした。
一方で、長男についてご夫妻にお伺いしたところ、
「何年も連絡をとっておらず、今どこで何をしているのかもわからない。」
とおっしゃっていました。
つまり、長男にはこの遺言が執行されるまで、この遺言書の存在自体も、内容も知らされないまま、進められることになります。
●解決策
このようなケースで考えなければならない点として、
◎遺留分
が挙げられます。
*遺留分とは
・・・遺留分とは、遺産相続で一定の相続人に保証されている最低限の相続分のこと
遺留分を請求できるのは、以下の相続人となります。
配偶者
子供、孫などの直系卑属
親、祖父母などの直系尊属
※兄弟姉妹(甥姪)は、遺留分を請求することができません。
今回のように、相続人の誰か1人に全て相続させるという内容の場合、
相続人の誰かが遺留分が侵害されたと訴えるリスクが高くなってしまいます。(遺留分侵害額請求)
そのリスクを減らすための、効果的な方法として、「付言事項」の作成をご提案させていただきました。
*付言事項とは
・・・付言事項とは、遺言書を通して、お世話になった人や家族への感謝、遺言書を作成した背景や気持ちを伝えることができる文章のこと
付言事項には、法的拘束力はありません。
しかし、遺言者の気持ちを相続人や受遺者に伝えることができるという点では、今回のようにリスクが伴う場面で、残された家族が争わないために効果的であると筆者は考えます。
当初、音信不通の長男にはメッセージを遺すつもりはありませんでしたが、
今回、筆者がご相談者のご夫妻からヒアリングした想いをもとに作成した付言事項を確認していただいたところ、今まで抱いていたネガティブな感情も少しだけ薄れたような印象を受けました。
長男にも、ご夫妻の想いが伝わるよう願っています。
●まとめ
ご自身の財産を、想いにのせて遺すことができる遺言書ですが、
本文に加えて、付言事項としてメッセージを遺すことで、笑顔相続の実現により近づきます。
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(文責:栗原 圭澄)