おひとりさまの遺言、全財産を換金して遺贈したい

ご相談内容

相談者(70代女性)は10年前に夫を亡くし、子供もいません。

3歳離れた妹も昨年亡くなり、相続人は妹の息子と娘(相談者にとって甥と姪)の二人です。
財産には自宅マンションと金融財産があります。
相談者は、自身が亡くなった後は、所有する財産のすべてを、視覚障害者を支援するNPO法人に遺贈したいと考えています。
しかし、不動産はそのままの形では受け取ってもらえないことが想定されるため、売却してお金に変えた後に遺贈する必要があります。
相談者の意向を実現するためには、どのような内容の遺言を書いたらよいでしょうか?

現状分析と改善策

具体的な原因

配偶者や子供がいない、いわゆる‟おひとりさま”が財産を遺贈する場合には、遺言書でその旨を定めただけでは不十分で、遺言書の内容をきちんと実現してくれる遺言執行者を指定する必要があります。
また、今回は遺贈の過程で、不動産の売却も必要となるため、この点についても考慮しないといけません。

解決策

遺言執行者の権限に「遺産の換価行為」を加えることで、遺言執行者が主体となって不動産の売却を行うことができます。その際に必要となる相続登記や(亡くなった方の)譲渡所得税の申告についても、遺言執行者に「名義変更手続き」や「税務申告」といった権限を与えることで、相続人の承認を要することなく、手続きを進めることができます。
(実際の手続きは司法書士や税理士が行うことになります。)

まとめ

今回のケースでは、相談者が高齢なこともあり、将来、本来の相続人である甥や姪から、遺言書の有効性を疑われないとも限りません。公正証書遺言により作成されることを推奨いたします。

(文責:山本 百合香)

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