高齢の父親が亡くなり、子供二人(長男・二男)が相続人となりました。
遺言書は無かったため、遺産分割協議を行うことになりました。
ご相談内容
<現状分析と改善策>
●具体的な原因
被相続人の主な相続財産は、自宅と預貯金でした。
自宅は近い将来に売却する予定であったため、当初の話し合いでは、
自宅も金融資産も長男と次男とで半々に分ける予定でした。
しかし、相続税を考えたときに、自宅の敷地のうち、持ち家のない長男が相続する部分については、一定期間所有することにより、相続税の優遇措置(小規模宅地等の特例)を受けられるのに対し、持ち家のある二男が相続する部分についてはそれがありません。
仮に、長男が自宅のすべてを相続すると、その敷地全体について優遇措置が受けられ、相続税は100万円単位で変わってきますが、残りの金融資産をすべて二男が相続しても、相続した財産の価値では、長男のそれと比べて半分以下になってしまいます。
●解決策
自宅は持ち家のない長男が相続することにより、その敷地全体について相続税の優遇措置を利用することにしました。
そして、二男は残りの金融資産を相続するだけでなく、長男から代償金を受け取ることになりました。
代償金の算定にあたっては、まず不動産業者に自宅の査定額を出してもらいました。そして、その金額から売却に伴う諸費用や税金を差し引いた正味の手取り額を計算しました。
この手取り額を自宅の時価としたうえで、長男と二男とで相続した財産の価値が同等になるための代償金の金額を算定しました。
●まとめ
「自宅が一軒、預金が少々、相続人が複数」という状況では、遺産分割協議が難航することがあります。
本事例では、遺産を均等に分けたいという相続人のご意向を実現するサポートをし、かつ、相続税の減額にも寄与することができました。
(文責:山本 百合香)