消費税の納付税額の計算は、原則として次のように行います。
△①課税売上げに係る消費税額(売上げた時に預かった消費税)
△②課税仕入れ等に係る消費税額(経費支払、資産購入時に支出した消費税額)
=③納付税額
原則的な計算方法は、支出に消費税が含まれているかどうかを都度確認する必要があるため煩雑です。
また、サービス業など支出のほとんどが消費税を含まない(例えば人件費)事業者の場合、納税負担が重くなりがちです。
そこで、2期前の課税売上高が5,000万円以下の事業者が一定の届出書を期日までに提出した場合に限り、課税売上げに係る消費税額に業種ごとに区分された一定の割合を乗じて簡易的に納付税額を計算できます。
これを簡易課税制度と呼びます。ちなみにサービス業の場合は50%の割合が適用されます。
簡易課税制度を適用した場合、消費税の納付税額の計算は次のように行います。
△①課税売上げに係る消費税額
△②課税売上げに係る消費税額×一定の割合
=③納付税額
例えば次のような二社があったとして、
原則と簡易課税で計算した場合の納付税額は次のようになります。
(説明の便宜上、計算は簡便的にしています)
A社
業種:サービス業
売上:4,500万円
経費:3,500万円(うち人件費が3,000万円で残りは地代家賃と広告宣伝費)
B社
業種:サービス業
売上:4,500万円
経費:3,500万円(うち人件費が3,000万円で残りは地代家賃と広告宣伝費)
投資:5,000万円(設備投資)
原則的な方法で計算した場合
A社
△①4,500万円×10%
△② 500万円×10%
=③ 400万円(納付)
B社
△①4,500万円×10%
△②(500万円+5,000万円)×10%
=③ 100万円(還付)
簡易課税で計算した場合
A社
△①4,500万円×10%
△②4,500万円×10%×50%
=③ 225万円(納付)
B社
△①4,500万円×10%
△②4,500万円×10%×50%
=③ 225万円(納付)
このように、課税売上げに係る消費税額のうち課税仕入れ等に係る消費税額の割合が、
その業種のみなし仕入率よりも高いか低いかで納税負担が決まることになります。
今回は簡単に説明しておりますが本来はもっと複雑な制度です。
詳しい説明や、「うちの会社はどうなの?」という疑問がある場合には、
制度の説明と一緒に原則と簡易のどちらが有利になるかのご提案もさせていただきます。
是非お問い合わせください!
(文責:井手 賢一郎)