会社経営を賃金から見直しましょう!

会社経営を賃金から見直しましょう!

10月は最低賃金の発効年月日であり、現在は少しずつ回復していますが、コロナ禍で残業がなくなった、もしくは少なくなった企業が多く、働き方改革(同一労働同一賃金)の基盤づくりも兼ねて、時給の見直し、給与計算、賃金について整理をする機会にしていただければと思います。

 

【月給制でも最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません】

月給制の最低賃金の算出方法は、

月の所定賃金額÷1か月の平均所定労働時間数=1時間あたりの時給

1か月の平均所定労働時間数の算出方法は、

(365日-1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間数÷12か月

※閏年は、365日を366日として計算

 

例えば、

東京勤務で1日8時間労働、基本給17万円、年間休日120日の場合

(365日-120日)×8時間÷12か月=163.3333時間

170,000円÷163.3333時間=1,040.9円>1,013円(最低賃金)

最低賃金以上ということが確認できます。

 

上記計算の応用で最低月給を確認することも可能です。

1,013円×163.3333時間=165,457円(小数点以下切上)

 

また、最近では月給者の給与に固定残業を導入している会社が多くあり、求人募集や雇用契約書等で下記のように明示されているかと思います。

基本給:月給17万円 固定残業代4万円(30時間相当分を含む)

 ※30時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給する。

 

固定残業を導入する、又は導入している際の注意点は、

【最低賃金を下回っていないか、固定残業代は正しく計算されているか】

 

固定残業代の算出方法は、

月の所定賃金額÷1か月の平均所定労働時間数=1時間あたりの時給

1時間あたりの時給×1.25(割増賃金)×固定残業代に含まれる時間数=固定残業代

 

例えば、

東京勤務で1日8時間労働、年間休日120日

基本給16万円、固定残業代3万円(30時間相当分を含む)の場合、

(365日-120日)×8時間÷12か月=163.3333時間

160,000円÷163.3333時間=979.6円<1,013円(最低賃金)

※1時間あたりの時給が最低賃金を下回っていたため固定残業代を算出する際の1時間あたりの時給を1,013円にして下記計算

 

1,013円×1.25(割増賃金率)×30時間=37,987.5円>30,000円(固定残業代)

上記の場合は、最低賃金、固定残業代ともに下回っており、未払い賃金が発生している状態です。従って、固定残業代を見直す必要があります。

 

固定残業は導入しているからといって無限に時間外労働を命じられるものではありませんし、固定残業代に含まれる時間を超えた時間分は追加支給する必要があります。

また、固定残業代に含まれる時間数の時間外労働をしていなくても固定残業代は満額支給しなくてはいけません。

 

固定残業は、月ごとに集計する時間外労働の計算を楽にする方法の一つであり、残業を常態化する方法ではありません。求人広告を出す際、基本給と固定残業代を合わせると高く見える効果はありますが、そもそも残業が必要なのかを確認し、残業がある場合は残業がなくなる仕組み作りをしてみてはいかがでしょうか。

 

中小企業の同一労働同一賃金が来年(2021年4月)から始まりますので、最低賃金以上になっているか確認後、業務内容、責任の重さ等と、従業員の時給単価を比べたときに不合理な待遇差がないかも再度確認しましょう。

 

HOPグループでは「中小企業のかかりつけ医」として、小さな疑問から大きな悩みまでサポートいたします。まずはお話しをお聴かせください!

 

(文責:鵜飼 達也)

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