令和3年7月1日、新通達発遣

法人保険を提案したりされたりした人なら1度は耳にしたことがあるであろう「名義変更プラン」、詳細は割愛いたしますが本年7月1日以降名義変更時の評価方法を見直す旨新通達が発遣されました。

どのような取扱いになったかと言いますと、会社が役員に対して支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利を支給した場合には、支給時資産計上額により評価することとなりました。

具体的にいえば4割損金商品の場合は名義変更時の解約返戻率が42%以上、6割損金商品の場合は28%以上でない契約に係る名義変更についてはこの通達に基づく処理を行うこととなります。

いわゆる従前の名義変更プランにおいては名義変更時の解約返戻率につき20%前後を想定していたと思われますので、この改正の与える影響は少なくありません。

今回の発見にあたり募集したパブリックコメントには以下のような意見がよせられていました。(以下一部抜粋)

・支給時資産計上額はあくまで「資産として計上した帳簿価額」に過ぎず、時価ではないため評価方法として合理性がない。

・名義変更時の生命保険契約の実質的な価値は処分価値であり、その時点の解約返戻金相当額であることは明らかである。その明確である実質的な価値と異なる評価額を取ることを定めることは税務行政を歪めることになり適切ではない。

これに対し当局は「本取扱いによる資産計上額は各保険商品の解約返戻金の実態を精査したうえで納税者の事務負担や計算の簡便性から最高解約返戻率に基づく一定の資産計上割合により計算した金額としたものであることから、鄭愛訳返戻期間における保険契約等の時価は支給時資産計上額をもって評価することが相当であり、新しい所得税基本通達の取り扱いは合理性を有すると考えます。」と取り付く島もありません。

何より今回の改正で注視されたのが、この通達が適用される保険契約が約2年前のいわゆる「バレンタインショック」後に締結された契約に適用されるといういわば遡及適用ともいえる内容についてです。

これについてもパブリックコメントには「事実上の遡及立法である」「当初想定された税効果と異なる結果を招く場合には納税者の予見可能性の観点から避けるべき」といった意見が寄せられましたが、これも当局は「改正後の新しい所得税基本通達は、通達改正後に行われる保険契約等の名義変更等について適用されることから遡及適用には当たらないと考えています。」と通達発遣後の名義変更であることを押し出し、これまた一蹴しています。

今回この改正が実現したことで今後懸念されるのは、多岐にわたる既加入の生命保険契約につき「令和〇年△月□日以降の名義変更について、評価方法を変更する」という規制が導入される可能性についてです。

これはすなわち契約日がいつであるかを問わず(=遡及)名義変更のタイミング(時期)でのみ適用通達を判断するとい可能性が極めて高くなったと言えます。

 

 

(文責:網野 博美)

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