ワンマン社長の勇退を支援した事例

ご相談内容

小さな工場を経営しています。高い技術力が評価され、少量多品種の加工、製造で
多くの取引先からの信頼を得てきました。65歳を迎え、借入金の保証の重荷からも解放されたいと考えています。経営、営業、積算見積、経理など製造以外の部分を私が一人でやってきてしまったため業務の引継ぎについて何をどのように進めていけばよいのか分からず困っています。

現状分析

税務顧問先であるため、会社の財務の状況や経営上の課題については把握できていました。
代々社内の親族外承継を実施していることから後継者の候補も上がっており、具体的な承継スケジュールとタスクを共有し承継手続きの進捗管理をしていくことにしました。

改善策

具体的には継承のための項目を以下のように列挙しました。
・会社の業績、財政状態について後継者への説明会を開催する。
・株式の承継計画(金額と譲渡のスケジュール)を検討する。
・経営の承継計画(取締役への就任、代表権の移譲のスケジュール)を検討する。
・営業同行の計画を立てる。
・社長の業務の棚卸をする。
HOPは、通常行っている決算報告をベースにして、会社の業績、財政状態ついての
説明会の資料作成と説明を担当し、承継に向けてのキックオフミーティングを企画しました。
新社長の意識と行動が変わるのには1年くらいの時間は必要と考え、前社長には代表権を維持したまま会長職に残っていただき対外的な信用への配慮をしました。
会長の給与を下げて、新社長の報酬を上げてからは、新社長の行動が変わってきたようでした。
社長交代から1年経過し、会長の代表権を外しました。銀行との交渉の結果、会長の個人保証を外してもらうことができました。
給与の設定、経理業務についての承継はこれからですが、優先順位と道筋をつけて一歩一歩進めています。

まとめ

今回の承継では、経営の承継が課題でした。前社長に、週に1度は会社に出てこない日を作っていただき、経営の時間を確保頂くと同時に、新社長が前社長に頼らずに社長業をする時間を作ることから始めました。
承継についての課題は千差万別です。それぞれの課題について優先順位をつけて、事業運営に支障をきたさずに承継を進められるように伴走しています。

(文責:星川 望)

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