令和5年10月1日からスタートする適格請求書等保存方式(インボイス制度)に先立って、
適格請求書発行事業者の登録申請書の受付が令和3年10月1日より開始しました。
当改正により課税仕入れの定義における「他の者」の範囲が狭くなります。
これに伴い従来免税事業者が享受できた消費税のいわゆる「益税」がなくなり、
小規模な事業者の方々に大きな影響が出てくることが想定されます。
(課税仕入れの定義)
「事業者が、事業として『他の者』から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けることをいう」
この「他の者」の範囲には、課税事業者や免税事業者のほか事業者ではない消費者も含まれます。
例えば、免税事業者である下請業者に外注費100万円を支払ったとします。この100万円の支払の中には、
10/110に相当する90,909円の消費税額が含まれているものとして消費税の計算を行います(※1)。
(※1)No.6455 免税事業者や消費者から仕入れたとき https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6455.htm(2021/10/4)
しかし、令和5年10月以降は適格請求書(インボイス)がなければ課税仕入れは認められず、
インボイスを発行できるのは、「適格請求書発行事業者」である「課税事業者」に限られますので、
令和5年10月以降から「他の者」の中には、免税事業者や消費者など適格請求書発行事業者以外の者は除かれます。
先ほどの例に当てはめると、免税事業者である下請業者に支払う外注費100万円は仕入税額控除が認められなくなるため、
元請業者は下請業者に対して、「適格請求書発行事業者」の登録と「課税事業者」の選択を要請する必要があります。
なお、以下の適用を受ける場合には、免税事業者や消費者など適格請求書発行事業者以外の者との取引でも仕入税額控除が認められます。
(経過措置)
令和5年10月以降から次の一定期間は、適格請求書発行事業者以外の者との取引であっても、
一定割合を課税仕入れとして認める経過措置が設けられています。
・令和5年10月1日から令和8年9月30日まで課税仕入れ等の税額 × 80%
・令和8年10月1日から令和11年9月30日まで課税仕入れ等の税額 × 50%
なお、経過措置の適用を受けるためには、一定の帳簿及び請求書等の保存が要件となります(※2)。
(※2)消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問86
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf#page=98(2021/10/4)
(簡易課税制度)
https://group-hop.com/column/post-2361/
重要かつ、分かりづらい部分も多くある改正となっております。
制度に関してご不明な点等あれば、是非お問い合わせくださいませ。
(文責:井手 賢一郎)