退職者から未支給の残業代を請求され、適切に対処した事例

ご相談内容

「在職中に行った残業に対する残業代(総額約34万円)が未支給であるため、支給振込をするよう退職者から書面が届いた。どうすれば良いか。」

勤怠の記録をしておらず、残業代も適切に支払っていなかったため、申出の通り事後的に残業代の支給をする必要がありました。在籍期間が数か月間だったにも関わらず、高額の請求です。こじれた糸をほどくように事実確認をしながら適当な金額を算定する必要がありました。

現状分析と解決策

具体的な原因

出退勤の時刻等のいわゆる「勤怠」について、客観的な方法による記録ができていなかったことが最大の原因です。しかし、過ぎてしまったことは仕方のないこと。残業代を請求された当人には、請求金額の根拠として記録している勤務時間の開示を求めました。また、その記録と社内で安全管理のために記録していた最終退出者のリストを突き合わせ、当人による記録の正当性を確認し、合致しない部分については合意の上訂正をしていただきました。

また、労働時間に対する給与の単価について書面での明示ができていなかったため、口頭で説明していた給与体系について改めて詳細に解説し、これに基づく適正金額を算出。結果、27万円程度の支払いで合意に至りました。

解決策

1. 勤怠記録ツールの導入

クラウドで勤怠の記録ができる勤怠ツールを導入しました。これにより、客観的なデータによる記録が可能になり、法律に基づいた割増賃金の計算ができるようになりました。

2. 給与規程の見直し

月額給与に対する正しい固定残業代を算出し、従業員の職位毎に給与テーブルを作成しました。また、法律だけではなく、会社として皆で守っていく「ハウスルール」を設定し、労働時間管理に対する全社的な意識改革を目指しました。

まとめ

「労基署に行きます。」と従業員に言われると非常に焦るものですが、そんな時こそ冷静な判断が必要です。法律家として適切なアドバイスをいたしますので、是非頼っていただきたいと思います。労働者の権利や法律も守っていくのが経営者の仕事です。状況を確認しながら、守るべきラインを探し出します。

本件については、しっかりと時間管理・コスト管理をすることで、会社として行うべき人事戦略も見えてきたというお言葉をいただいています。ピンチはチャンス。一緒により強い組織づくりを目指しましょう。

 

 

(文責:植松 沙和子)