7月は多くの事業者にとって事務手続きが集中する“繁忙月”です。特に税務・労務に関する提出や納付の期限が複数重なり、うっかり忘れてしまうと罰則や余計なコストが発生することも。ここでは、特に重要な5つの手続きをまとめてご紹介します。
1.源泉所得税の納期特例の納付(7月10日まで)
源泉所得税の納期特例を選択している場合、1月~6月に支払った給与や賞与、退職金、士業報酬などに係る源泉所得税を7月10日までに納める必要があります。
特に注意すべきは以下です。
・6月に支給する賞与や退職金などの集計。支給タイミングが7月10日納付分に該当していないか要確認。
・年末調整で控除しきれなかった税額(1月20日納付書に記載)がある場合は、7月10日納付分から控除可能。忘れずに反映しましょう。
なお、納付額が0円となる場合でも、所得税徴収高計算書を、税務署に提出する必要があります。
2.労働保険の年度更新(原則7月10日まで)
労働保険に加入している事業者には、6月に「年度更新のご案内」が届いているはずです。
・前年度(令和6年度)の確定保険料の精算
・新年度(令和7年度)の概算保険料の申告
この2つを行う重要な手続きです。ここで言う年度は、令和6年4月〜令和7年3月を指します。
3.社会保険の算定基礎届(7月10日まで)
7月1日現在の全被保険者について、4月〜6月の給与実績を年金事務所へ届け出る手続きです。この届け出に基づいて、9月分以降の社会保険料が決まります。
また、4月に昇給し、7月に「随時改定(随時改定対象者)」が見込まれる場合は、算定基礎届ではなく「月額変更届」の提出が必要になります。
4.所得税の予定納税額の減額申請(7月15日締切)
個人事業主の方で、前年分の所得税の確定申告で納税額が15万円以上だった方は、原則として、7月と11月に予定納税を行う義務があります。
しかし、たとえば事業を法人成りした場合や収入減などで今年の見込み納税額が予定納税基準額を下回る場合、7月1日から7月15日までに減額申請することで、予定納税を減額することができます。これにより、キャッシュアウトを抑えることが可能です。
5.賞与支払届(支払日から5日以内)
賞与を支給した場合は、支払日から5日以内に被保険者賞与支払届を年金事務所に提出する必要があります。この手続きによって、賞与分の社会保険料が計算・請求されます。
あわせて、賞与の源泉徴収税率は通常の給与とは異なる点にも注意が必要です。
まとめ
7月は「源泉所得税」「労働保険」「社会保険」の3大手続きが重なる、事業者にとっての要注意月です。さらに、予定納税や賞与支払届といった期限もあり、気が抜けません。
それぞれの提出・納付期限をしっかり管理し、スムーズな業務運営につなげましょう。
文責:中森 貴士