法人が社会貢献の一環として寄付を行うことは、企業のイメージ向上や従業員のモチベーション向上に繋がる一方で、税務上の取り扱いには注意が必要です。
法人が寄付を行った場合、その寄付金は原則として損金(税務上の費用)として扱われますが、全額が損金算入されるわけではありません。法人税法では、寄付金の損金算入に限度額が設けられています。
1. 寄付金の分類と損金算入限度額
法人税法上の寄付金は、その寄付先によって以下の3種類に分類され、それぞれ異なる損金算入限度額が適用されます。
①国又は地方公共団体に対する寄付金、指定寄付金
②特定公益増進法人への寄付金
③一般の寄付金
留意点
会計上の名称が「寄付金」でなくても、実質的に対価性のない金銭や資産の贈与、経済的利益の無償供与などは税務上「寄付金」とみなされることがあります。例えば、無利息での金銭貸付の利息相当額や、時価よりも著しく低い価格での資産譲渡の差額なども含まれます。
2. 企業版ふるさと納税
国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトへの寄付は、損金算入と税額控除を合わせて、最大で寄付額の約9割が軽減される特例制度があります。
留意点
本社が所在する自治体への寄付は対象外であること、寄付に対する経済的な見返り(補助金等)は禁止であることです。
企業版ふるさと納税の税制優遇の計算式は、主に以下の要素から構成されます。
これらの合計で、最大で寄付額の約9割の税軽減が実現します。
引用:内閣府地方創生推進事務局
文責:樫福 浩太