コラム

先日、株式会社nodomaruの村上氏を講師にお招きし、「AIと協働できるようになろう！」をテーマとしたセミナーが開催されました。AI時代の働き方、仕事で活用できるAIツール、そしてプロンプトの重要性など、時代に乗り遅れないために必須の知識を学ぶことができました。特に印象的だったのは、AIが仕事を代替していく中で、いかにAIを使いこなし、自身の価値を高めていくかという視点です。

**歴史を振り返ると、同様の構造は過去にもありました。**産業革命時、機械の導入で10人のうち9人が職を失ったと言われます。**残りの1人が生き残った道は、**機械を開発する側になるか、あるいは機械を操作・活用する側になることでした。

現代はまさにこの構造が再来しており、**「生き残る1人」になるためには、「AIを使いこなせる人」になるか、「AIが知り得ない知見を持つ人」**になるかの二択であると確信しました。

～AIを使いこなす：プロンプト技術の重要性～

では、「AIを使いこなせる人」とは具体的にどのような人でしょうか。答えは、村上氏が強調されていた「プロンプトの重要性」に集約されます。単にAIに質問を投げかけるだけでは、産業革命時に「機械を眺めているだけの人」と変わりません。AIという強力なエンジンの性能を最大限に引き出すプロンプト技術こそが、現代の「機械を操作するスキル」に直結するのです。

日々の業務で**「この作業をAIに任せられないか？」「どう質問すれば、意図を正確に汲み取ってくれるか？」と自問自答し、試行錯誤を繰り返すこと。そして、AIの出力を鵜呑みにせず、自身の知見を加えてブラッシュアップすること。この「AIとの質の高いキャッチボール」**こそが、個人の価値を大きく左右する鍵となります。

～AIが知り得ない知見を持つ：非代替な価値～

一方、「AIが知り得ない知見」を持つことも不可欠です。AIは過去のデータに基づきますが、データ化されていない現場の生の声や、経験からしか得られない洞察は人間にしか持ち得ません。

さらに、最終的な責任を伴う倫理的な判断や、「感情」を理解し「人とのつながり」を創出する力は、AIには決して真似できない最も価値ある知見です。

今回のAIセミナーは、まさに後者の価値の象徴です。この企画は、単に「AIが流行っているから」という理由ではなく、以前、nodomaru様と合同で開催した「木鶏会」という社内研修でのご縁が延長線上にあって実現しました。

人と人との信頼関係や、「またこの人たちと何かをしたい」と感じるポジティブな「感情」こそが、AIセミナーという新たな価値を生み出した起点です。AIは効率化や最適化は可能でも、このような「ご縁」を能動的に紡いだり、そのつながりから生まれる「温かさ」をエネルギーにして新しい企画を生み出したりすることはできません。

～**時代に取り残されるのではなく、時代をリードする「生き残る1人」**になる！～

AIの登場により、業務の効率は格段に高まりました。AIを使いこなして効率化を図りつつ、人間にしか生み出せない**「共感」「創造性」「信頼」、そして現場での深い経験といったアナログな価値を意図的に磨き続けること。この「両輪を回すこと」**こそが、AI時代の生存戦略に他なりません。

産業革命時、職を失った9人は「機械に仕事を奪われる」と怯えた側かもしれません。しかし、生き残った1人は**「機械を使って何ができるか」を考えた側**です。

これらのことから、今後は、更にAIとの協働を実践し、「温かさ」を大切にする人間としての価値を磨き続けていきます。

(文責：松石　美紅)